<事例/質問>
知り合いの社長が、労働者から訴えられて、裁判でも主張が受け入れてもらえなかったとぼやいていましたが、企業が労働問題で苦労するのは何か原因があるのでしょうか。
逆に、労働問題を起こさずに安全・安心に経営するコツってあるのでしょうか?
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
企業が労働法でつまずく大きな原因は、企業が
「ヒト」
と
「モノ」
の区別を正しく理解していないことにあります。
昔、人類社会には奴隷制度がありました。
労働力を提供する
「奴隷」
と呼ばれる人たちは、人間としての権利や尊厳を持たず、
「モノ」
と同様に扱われていました。
例えば、仕事でパソコンという
「モノ」
を使います。
パソコンは手頃な値段で購入でき、情報処理を助けてくれます。
しかし、何年か経つと壊れたり、陳腐化したりして使えなくなります。
そのとき、私たちは使えなくなったパソコンをどうするでしょうか?
大事に保管し続けたり、保守料を払い続けたりはせず、速攻でゴミ箱に捨ててしまいます。
では、労働者はどうでしょうか?
労働者はモノとは違い、成長し続ける存在です。
しかし、時には健康を害したり、スキルの見直しが必要になったりすることもあります。
経営者はそうした状況の労働者をどうするのでしょうか?
多くの社長さんは
「速攻で解雇してポイ」
と言いたいでしょう。
また、実際にそうしている社長さんも少なくないと思われます。
なぜなら、
「日本では、10社中7~8社の企業が労働関連法規を無視して経営している」
という実態があるからです。
しかし、残念ながら、近代法治国家では
「ヒト」
と
「モノ」
は明確に区別されています。
パソコンでできるような廃棄物処理は、
「ヒト」
には一切許されません。
ヒトとモノの区別ができていない、古臭い人権感覚を持った企業トップが多いことが問題です。
そのため、
「日本では、10社中7~8社の企業が労働関連法規を無視して経営している」
実態が改善されず、厳然と存在しているのです。
詳細は、以下をお聴きください。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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