弁護士や税理士などの専門資格を持つ人はたくさんいます。
経営者の中には
「専門家に任せさえすれば、大丈夫だろう」
と、楽観的に構える方が少なくありません。
しっかりとしたプロセスを踏んで税務調査に対応する経営者は少数派です。
多くの場合、専門家が単一の選択肢を
「これでいきましょう」
と提案し、それを鵜呑みにして、進めています。
専門家に任せておけば、 状況が一気に好転し
「未来が開ける」
という期待感を抱くことができます。
もちろん、その方法がうまくいけば、いいでしょう。
しかし、相手は日本最大の組織である国税当局です。
彼らは豊富な人と強力な権限を持っています。
成功する確率は低く、失敗すれば即座にゲームオーバーになることもあります。
特に、予想外の事態に備えていない場合は非常に危険です。
このような背景から、税務調査への対応力が欠けている専門家が多いのが現実です。
では、どうやって
「しっかりとしたプロセスを踏んで対応」
すればいいのでしょう。
そして、どのように税務調査への対応力を持つ専門家を選べばいいのでしょう。
以下のポイントを参考に、専門家を選ぶことをおすすめします。
1 情報提供の有無と質:
その専門家は、企業対税務調査対応の情報やリタラシーをどのように提供しているか?
2 ゲーム環境の知見:
税務調査の「ゲーム環境」を理解せずに放置すると、すぐにゲームオーバーになる可能性がある。
この環境について、書籍には載っていない知見を企業に提供できる専門家か?
3 現実的な目標設定:
実現可能な目標を設定し、しっかりと対応しているか?
4 冷静な課題抽出:
冷静かつ保守的に課題を見極めているか?
5 多様な選択肢の提案:
時間・コスト・労力という制約条件を考えながら、「唯一無二の選択肢」ではなく、「あの手、この手、奥の手、禁止手、寝技、小技、反則技」をひねり出すスタンスで、可能な限り多くの選択肢を提案しているか?
その上で、各選択肢の長所と短所を比較するプロコン分析を行っているか?
6 フェアな選択と修正:
多様な選択肢の中から、公正に最適なものを選び出しているか?
また、選択が間違っていた場合に、再び選択局面に立ち戻り、時間経過による修正を加えて、選択肢を選びなおす、という試行錯誤を続けるような想定までしているか?
以上に対し、
「明快な回答を持っているかどうか」
が
「税務調査への対応力を持つ専門家」
を見極めるコツといえるでしょう。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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