02172_見えないものをミエル化する知恵_株主総会の議事録が無効になるとき_“納得のプロセス”をどう残すか?

企業では、「理解しました」という言葉がよく交わされます。 それがそのまま「同意があった」と受け取られてしまうことも、少なくありません。 しかし、法務の立場から見ると、「理解=同意」とは限りません。 たとえば、「Aという事実があったことは理解している。でも私はそれに納得していないし、同意もしていない」。 こう言われてしま...

02171_修正申告は企業法務の落とし穴_“収益の帰属”を見誤った善意の訂正が招いた結末

「修正申告=正しい対応」とは限らない 税務の世界には、誤りを正すための「修正申告」という制度があります。 たしかにこれは、制度として当然のものと言えるでしょう。 実際、多くの企業が、税務署から指摘を受けては、すぐに修正し、納税し直しています。 ところが、そこには落とし穴が潜んでいます。 そもそも修正申告とは、あくまで「...

02170_記録を仕組み化する_記録文化をつくる設計思考

なぜ書かれないのか ある管理部門で、予算修正に関する会議が開かれました。 議論は白熱し、最終的には「部内で再検討のうえ、来週もう一度提案を出す」という流れで着地しました。 ところが、次の週になって再びその話題が上がった際、出席者のあいだで意見が食い違っていました。 「そんな話だったでしょうか?」「了承されたと思っていま...

02169_確認メールはどこまで“証拠”になり得るか_“契約未満”の合意を文書に残す技術と視点

確認メールが“社内防衛”で終わっていないか? 私のもとに寄せられる企業法務の相談には、ある共通点があります。 それは、「言った・言わない」の泥仕合が、背景に潜んでいるということです。 その多くは、社外とのやりとりに起因しています。 取引先との協議、外部関係者との打合せ、委託先との折衝—— その場ではうまく進んでいたはず...

02168_議事録がなぜ“契約未満”であって“証拠以上”なのか_実務担当者が知っておくべき文書の真価

議事録は、契約書とちがって署名も押印もされていないことがほとんどです。 したがって、厳密な意味での「合意書」ではありません。 それにもかかわらず、実務の現場では、この議事録がときに 「契約書以上の意味」 を持つことすらあります。 それはなぜか。 どうして「契約未満」なのに、「証拠以上」の役割を果たすのか。 この一見矛盾...

02167 _“言った”“言わない”の地獄から抜け出す技法_「信じるな」から始まる、トラブル予防の技術

「そういう意味では言っていない」 「いや、間違いなくそう聞いた」 この手のすれ違いは、企業活動の至るところで発生します。 そして、厄介なことに、どちらかが意図的にウソをついているわけではないことも多いのです。 むしろ、双方が「自分の記憶こそ正しい」と、本気で思い込んでいるのです。 そこにこそ、最大の落とし穴があります。...

02166_民事裁判のリアル_裁判官は書面しか読まない

民事裁判というと、テレビドラマのようなシーンを思い浮かべる方が多いかもしれません。 大きな法廷で、当事者が感情をぶつけ合い、証人が泣きながら語り、最後に裁判官が「判決!」と声を張り上げる――そんなイメージを持たれている方にとって、実際の民事裁判は驚くほど静かで、そして淡々としたものに映ると思います。 なぜなら、民事裁判...

02165_企業法務における安全の構造_(最終回)再発防止は「研修の構造」で決まる_“やったか”ではなく“根づかせたか”

「研修はしました」トラブル発生後に、そう釈明されることがあります。 確かに、企業として必要な研修を実施していた。受講記録も残っているし、社内メールでも周知済み。それなのに、なぜ起きたのか── 答えは、はっきりしています。 それは「研修“だけ”で済ませてしまった」からです。 研修は、実施すること自体が目的ではありません。...