00860_日本企業が海外進出に失敗するメカニズム5:「アジア進出に成功する企業」が徹底して行う、目的達成のための行動原理

ビジネスの目的が客観性と合理性を維持しているかどうかを検証するテストとして
「SMART基準」
によるチェックというものが存在します。

「アジア進出に成功する企業においては、徹底した現実的で合理的な観点で、植民地時代の欧米列強諸国の企業の進出とほぼ近似するようなマインドとビヘイビア」
で怜悧さをもっています。

具体的に、アジア進出に成功する企業は、どのようなビヘイビアで、その目的(具体的な言葉にすると、やや問題を生じかねないので、あえて言葉にしませんが、植民地時代の欧米列強諸国の企業の進出目的ないし動機とほぼ近似するようなもの、と述べるにとどめます)を達成するのでしょうか。

「アジア進出に成功する企業が採用する(採用していると推察される)、“徹底した現実的で合理的なマインドとビヘイビア”」
をご紹介したいと思います。

そもそも、アジアに進出するのは、経済的メリット、それも目眩を起こしてぶったおれるくらいおいしいメリットがあるからです。

別に、
「悠久の大自然をもっている」から進出するわけでもない(はず)ですし、
「長きにわたる歴史や文明・文化があり、これをリスペクトする」から進出するわけでもない(はず)ですし、
「先の戦争でご迷惑をおかけしたので、そのすまない気持ちから、罪滅ぼしのため」に進出するわけでもない(はず)ですし、
「同じアジア人同志仲良くしたいから」
というわけでもないでしょう。

こういう、
「意味不明な」
あるいは
「ヌルい」
ことを考えて進出する企業は、軒並み大失敗して、痛い目に遭ったり、生き地獄をみて会社の死期を早めています。

営利追求を至上のミッションとする合理的組織である企業が、時間をかけて、空間的距離を克服して、わざわざ遠くの国まで進出する目的は、シンプルに言いますと、
「ホニャララくんだりまで行くコストや手間」を遥かに上回るメリットがあるから
というのがその理由であるべきです。

要するに、カネです。

ビジネスです。

身も蓋もない言い方をすれば、
「海外に進出するのは、国内より安く労働力が手に張ったり、競争がラクだから」
というのが合理的理由となるべきはずです。

すなわち、
「“植民地時代”において、“列強諸国の資本家が、アジアその他植民地に進出すると、劣等民族(※当時の彼らの認識です。私はそんな認識ビタ1グラムももっていません)を奴隷労働力として廉価に活用できたり(工場等を作って、生産資源として活用する場合)、あるいは、文明レベルの劣る民族(※当時の彼らの認識です。私はそんな認識ビタ1グラムももっていません )に対して、圧倒的な価値と希少性を有する商品・サービスを提供することを通じた、市場争奪、支配が可能である」
ことを前提として進出したのと同じあるいは類似ないし近似するシビアなメンタリティーにもとづいて、あるいは、このような
「エゲツナイ目的」
を強固に意識して進出する、というのが、
「進出に成功する企業」
のマインドです(無論、こんな本心は絶対明かしませんので、推察するほかないのですが)。

そして、
「海外進出に成功する企業」
は、このような
「“エゲツナイ目的”をしびれるくらい、リアルに、明確に、理解したリーダー」
が、
「圧倒的な士気とこの士気を支える鼻血が出るほど魅力的なインセンティブ」
を前提に、徹底的に、情け容赦なく、メリットを活かし、その成果をカネとして現実化するための活動をシビアに行っているのです。

このようなリアリティスティックな行動スタイルが、進出成功の鍵といえます。

そのためには、
1 現地の人間になめられないような制度やカルチャーを現地法人に浸透させ、確立する
2 強烈な強制の契機をはらんだ圧倒的なオーラを醸し出し、徹底して高圧的な支配を実行する(とはいえ、植民地時代ではないので、極めてエレガントで、スマートな形で支配は展開されます)
3 俗悪・無作法・怠惰を許さない、徹底した管理を敷く。客観的基準と合理的観察によるエゲつない能力差別を行ない、論功行賞を明確に実施し、ルール違反者に対する過酷な懲罰を徹底して行う
4 独禁法を愚弄する精神で、競争者の存在を否定し、あるいは新規参入の目を容赦なく摘む形で、市場を迅速かつ圧倒的に支配する(つもりで頑張る。実際は法令には触れないように細心の注意を払う)。このような市場支配(を目指した、法に触れない経済活動)を、大量のカネ、物量を背景に、高圧的に、スピーディーに、SMART基準にしたがって、効率性を徹底追求して行う

という各タスクを、眉一つ動かさず、クールに、スマートに、完璧に成し遂げることが必要になります。

このようなタスクを
「しかるべきリーダー」
すなわち、

(1)各タスクを、命を賭して、完全に成し遂げる強靭な意志と、
(2)平然かつ冷静にやり抜くスキルと、
(3)成功時に得られる、莫大なインセンティブと、
(4)声一つ発することなく、被支配者が自然とひれ伏す強烈なオーラと、
(5)悪魔の手先のような性根と
(6)常に、エレガントに振る舞える典雅さ

を併せもった責任者(=「しかるべきリーダー」)に委ねるからこそ、アジア進出に成功するのです。

ご理解いただけましたでしょうか?

成功には、明確な根拠と理由があるのです。

逆に、
「海外進出に失敗する、残念な企業」
というのは、前記のようなメリットをきちんと明確化も整理もせず、目的もあいまいなまま、目標も実施戦略もロクに立てず、
「しかるべきリーダー」
どころか、まるで、やる気も能力もなく、
「そもそも『何をしたらいいか』すらさっぱりわからない適当な人間」

「適当なこと」
をさせるから、失敗すべくして失敗するのです。

日本企業の多くが、海外進出、アジア進出、中国進出にことごとく失敗する理由ですが、私の目からみたら、ある意味、ものすごく明快であり、近時の撤退ブームも
「さもありなん」
といった感があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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