01982_海外赴任中の従業員を制御するための文書作成の視点

文書を送って海外に赴任中の従業員を制御する、ということは、そのこと自体、他者制御課題です。 制御対象である相手方の認識や思考に立って、観察して、展開予測をしないと、戦理にかなった行動は難しいといえましょう。 制御対象である相手方の認識や思考に立って観察すれば、送ろうとする文書が、・(相手方にとって)承服しがたい内容・(...

01981_労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら_その2

労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら、「様々な選択課題を内包する、ケースないしプロジェクト」として、“時間的冗長性”と“対処チーム組成”を考えなければなりません。 まず、認識すべきことは、この対処課題には、「唯一の絶対的正解がない」という厳然たる状況です。 あるのは、「どれも正解とは、言い難い、いずれも...

01980_労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら_その1

労務マネジメントにおいて、文書による謝罪を要求されたら、その対処は、「みようみまねでつくってみた謝罪文を、弁護士にみてもらって、ちょっと助言をもらって手直しすればいい」というものではありません。 あるいは、・相手方が、「相手の望む対応(文書による謝罪)をしない限り、アクションを起こす」と言ったのはブラフであり、相手の要...

01977_“パワハラ”事案を知ったときの会社対応

全体・概括として、・パワハラ罪やパワハラ禁止法というものは、法律的に明確な定義は存在しません。・“パワハラ”というものは、不定形で抽象的なものであり、被害者側が、5W1Hを含め、具体的な事実関係と違法性を主張として、固めるまでは、(言い方は不適切かもしれませんが) 会社側としては腕組みして待っていれば足りる話です。・そ...

01975_クライアントと弁護士の関係

弁護士と、クライアントとの関係は、民主的な文民統制における、ミリタリー(軍人)と、シヴィリアン(政治家)の関係と同じです。 ・ミリタリー(軍人。弁護士の暗喩)は、奉仕すべきシヴィリアン(政治家。クライアントの暗喩)に対して、判断の前提たる選択肢を抽出整理し、上程します。 ・その際、各選択肢には、客観性を貫いた、怜悧なプ...

01974_労働事件における交渉条件提示を会社側が躊躇あるいは放置していることのリスク

労働事件において、交渉のテーブルに双方がついた状況で、「交渉を進めるための(会社側からの)妥協的条件提示がなかなかできない」ことに相手方がしびれを切らした場合、訴訟(ないし労働審判)に移行、という最後通告を受けかねません。 弁護士としては、クライアントである会社側から、方針について「了承」をもらわないことには、相手方に...

01967_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その3_裁判所からしょっぱい対応を受けた「未払残業代事件」

保守的・体制寄りとかどうとかいう前に、未払残業代事件については、裁判所全体として、企業側にそうとう厳しい対応をしてくる、という認識を明確にもつべきです。 すなわち、・労働時間はきっちり管理させ記録させる、そして・記録された時間どおり、単価を乗じた労賃はすべてきっちり払わせる。・払わなければ、耳を揃え、利息をつけて強制的...

01966_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その2_「未払残業代事件での企業受難時代」の背景

裁判所が人権擁護に目覚めた、という側面がないとは言い切れませんが、むしろ、昨今の「未払残業代問題についての、徹底した労働者寄りの裁判所の対処哲学」は、日本の産業界の未来を憂いた、エスタブリッシュメントとしての確固たる信念に支えられているものと思われます。 すなわち、無料でいくらでも働かせる人的資源があり、企業がこれに依...

01965_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その1_企業側に立つとはいいがたい状況

裁判所は労使問題において、「常に、当然企業側に立つ」とはいいがたい、独特の哲学と価値観と思想を有しているように思われる節があります。 著者の経験上の認識によれば、裁判所には「会社の得手勝手な解雇は許さないし、従業員に対しては約束したカネはきっちり払わせる。他方で、従業員サイドにおいては、会社に人生まるごと面倒みてもらっ...

01958_労働審判の特徴

「労働審判」は、「裁判」 ではなく、「審判」という、ある意味、司法作用とは「ちょいと違うし、まあ、モノホンのガチンコ裁判ではなく、後から本格的裁判で争うことも可能な、テストマッチというか、前座というか、亜流の裁判モドキ。だから、裁判とは違う、ちょいと雑で、スピーディーで、独裁チックなことやってもいいよね?」みたいな風体...