01978_刑事事件における供託金の取り戻しについて

弁済供託制度は、「支払いたいが、相手が受け取ってくれない」という課題解決のための制度であり、「供託を以て、支払い完了」というフィクションを、供託者の便宜で実施するものです。 我々弁護士が供託手続きを受任するにあたっては、「供託した場合、取戻しはしない前提とする」という事前確認をクライアントに行います。 無論、制度として...

01949_「販売を伴う預託等取引は原則禁止」ということについて

「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」は、令和4年6月1日から施行されました。 預託等取引に関する法律は、販売を伴う預託等取引(以下「販売預託」といいます。)を原則として禁止しています。 ビジネスモデルを構築しようと検討する場合、1 預託法という規制規範を把握了解...

01784_財務省の奇策_請求認諾による訴訟の強制終了

森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんが原因で自殺した財務省近畿財務局の元職員、赤木俊夫氏の妻が、国と同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた事件で、2021年12月15日、大阪地裁で国が、「請求認諾」という奇策を使って、約1億700万円の損害賠償責任を認め、訴訟を強制終了させてしまう、という事件が...

01778_11歳からの企業法務入門_11_トラブったとき(約束に違反しちゃったとき、約束を破られたとき)の対処(3)_裁判でケリをつける方法

裁判になる前に、お互い、冷静になって、話し合って、譲り合って、あきらめ合って、ギブアップし合って、解決出来るならいいのですが、和解や示談といっても、しょせん、相手が同意しなければ成立しない話ですし、やっぱり、そう簡単に同意してくれません。 人間の本質として、冷静に話し合って、譲り合って、あきらめ合って、ギブアップし合っ...

01771_11歳からの企業法務入門_4_法律も、契約も、「書いていないことは何をやっても自由」と考えてよく、ワルとズルの味方

法であれ、契約であれ、小難しい言葉で書かれた文書ですが、「あれをしろ、これをしろ、と窮屈に人をしばりつける厄介で面倒なモノ」と思うかもしれません。 しかし、「本当に法律をわかっている、知恵のある人間」は、そうは考えません。 法であれ、契約であれ、「あることを守るように約束させられた」というものですから、これを逆に捉えれ...

01767_11歳からの企業法務入門_0_序:11歳でも理解できるように咀嚼することの重要性

1 「企業法務」という特殊な「サービス」の「ユーザー」である経営陣は、「経営の専門家」であっても、「法律の専門家」ではない 経営者は、経営の専門家であっても、法律の専門家ではありません。 加えて、経営者を含む多くの日本の成人は、機能的文盲の状況にあり、漢字がたくさんの難解な長文のカタマリを提示しても、象形文字として、画...

01766_11歳からの企業法務入門_△1_本シリーズ企画の背景:「企業法務」という「面倒くさい割に、くだらない業務分野」のフラット化・民主化

ビジネスの世界で、私が、「『意味不明な専門用語』を使ったり、『聞くに堪えない、上品で難解で退屈な表現』を使わないと状況を説明出来ない人間」に出会ったとします。 私は、そいつを、 1 「『意味不明な専門用語』や 『聞くに堪えない、上品で難解で退屈な表現』を記憶する程度のことは出来ても、本質を全く理解していないバカ」か、2...

01697_🔰企業法務ベーシック🔰/企業法務超入門(企業法務ビギナー・ビジネスマン向けリテラシー)8_法は「日本語」ではない(後)

2 民法の「善意」の意味 大学等で民法を学ぶと、かなり最初の方に勉強する、94条「虚偽表示」という条文があります。 かつては、通謀虚偽表示といわれた条文でしたが、通謀性が欠如する虚偽表示をも取り込む趣旨から、最近では、 「通謀」が取れて、単に「虚偽表示」と呼ばれるようになった条文です(私個人としては、「相手方と通じてし...

01696_🔰企業法務ベーシック🔰/企業法務超入門(企業法務ビギナー・ビジネスマン向けリテラシー)7_法は「日本語」ではない(前)

1 会社法の「社員」の意味 法律、といってももちろん日本の法律ですが、これは日本語として、普通に理解していいのでしょうか?  ここで、例をとって考えてみます。 滋賀県から東京の大学に進学し、東京で就活をしていたA子さんですが、希望の就職先が全滅で、夢破れて地元の滋賀に帰ってきました。 民間会社で適当なところが...

01695_🔰企業法務ベーシック🔰/企業法務超入門(企業法務ビギナー・ビジネスマン向けリテラシー)6_法が非常識であり、法と倫理は別物であること(後)

2 「法」の世界~客観的ルールが整備され、自由が保障された世界~(承前) 適正手続の保障を定めた憲法31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」についてみてみましょう。 この条文は、カタギの方にはほとんど縁がなく、「チエのある厄介者」が頻繁に使うもので...