02170_記録を仕組み化する_記録文化をつくる設計思考
なぜ書かれないのか ある管理部門で、予算修正に関する会議が開かれました。 議論は白熱し、最終的には「部内で再検討のうえ、来週もう一度提案を出す」という流れで着地しました。 ところが、次の週になって再びその話題が上がった際、出席者のあいだで意見が食い違っていました。 「そんな話だったでしょうか?」「了承されたと思っていま...
なぜ書かれないのか ある管理部門で、予算修正に関する会議が開かれました。 議論は白熱し、最終的には「部内で再検討のうえ、来週もう一度提案を出す」という流れで着地しました。 ところが、次の週になって再びその話題が上がった際、出席者のあいだで意見が食い違っていました。 「そんな話だったでしょうか?」「了承されたと思っていま...
確認メールが“社内防衛”で終わっていないか? 私のもとに寄せられる企業法務の相談には、ある共通点があります。 それは、「言った・言わない」の泥仕合が、背景に潜んでいるということです。 その多くは、社外とのやりとりに起因しています。 取引先との協議、外部関係者との打合せ、委託先との折衝—— その場ではうまく進んでいたはず...
議事録は、契約書とちがって署名も押印もされていないことがほとんどです。 したがって、厳密な意味での「合意書」ではありません。 それにもかかわらず、実務の現場では、この議事録がときに 「契約書以上の意味」 を持つことすらあります。 それはなぜか。 どうして「契約未満」なのに、「証拠以上」の役割を果たすのか。 この一見矛盾...
「そういう意味では言っていない」 「いや、間違いなくそう聞いた」 この手のすれ違いは、企業活動の至るところで発生します。 そして、厄介なことに、どちらかが意図的にウソをついているわけではないことも多いのです。 むしろ、双方が「自分の記憶こそ正しい」と、本気で思い込んでいるのです。 そこにこそ、最大の落とし穴があります。...
民事裁判というと、テレビドラマのようなシーンを思い浮かべる方が多いかもしれません。 大きな法廷で、当事者が感情をぶつけ合い、証人が泣きながら語り、最後に裁判官が「判決!」と声を張り上げる――そんなイメージを持たれている方にとって、実際の民事裁判は驚くほど静かで、そして淡々としたものに映ると思います。 なぜなら、民事裁判...
「研修はしました」トラブル発生後に、そう釈明されることがあります。 確かに、企業として必要な研修を実施していた。受講記録も残っているし、社内メールでも周知済み。それなのに、なぜ起きたのか── 答えは、はっきりしています。 それは「研修“だけ”で済ませてしまった」からです。 研修は、実施すること自体が目的ではありません。...
「たしかに確認はしました。でも、大丈夫そうだったので通しました」 ある中堅企業の担当者が発した言葉です 。 それは、取引先との契約書を担当者とその上長が確認し、法務部門もチェックをした上で決裁に至った案件でした。 ところが、後日、契約条項の一部について、親会社の監査役から「法令違反の懸念がある」と指摘を受けることになり...
「前任者からそう聞いていました」 現場で問題が起きたとき、よく耳にする言葉です。 その裏には、暗黙のルールや文書化されていない手順、口頭だけで引き継がれてきた慣行が、当たり前のように存在しています。 たとえば、ある企業の経理部門では、「この処理、正式なマニュアルはないんです。でも、◯◯さんから『こうやればいい』と聞いて...
ヒヤリハットは「共有しないと」意味がない 「ヒヤリとしたが、報告するほどではない」「現場ではよくある話だ」「あとで話題にしても、どうしようもない」 ある作業員は、こうも言いました。「一瞬だけ危なかったんです。でも何も起きなかったし、わざわざ言うことでもないと思って・・・」こうした言葉が、組織の中で交わされているとすれば...
「情報管理には“気をつけていたつもり”でした」サイバー事故や個人情報漏洩の報道で、こうした発言が関係者から繰り返されることがあります。 けれども、「つもり」では済まされないのが、情報漏洩というインシデントの厳しさです。 ある情報通信系のスタートアップで、クラウドに保管されていた顧客データが、外部から閲覧可能な設定になっ...