01976_弁護士を変えて控訴する場合の注意点_控訴期間

民事の訴訟事件において、地方裁判所で棄却の判決がくだされると、「控訴するか」「控訴しないか」という選択段階に入りますが、「控訴する」「控訴しない」は、単純に、手続き上の課題ではありません。 裁判は、緻密で複雑な外交戦です。 ・ゲーム環境・ゲームロジック・ゲームの展開推移予測・現実的期待値・課題の克服可能性これらを踏まえ...

01975_クライアントと弁護士の関係

弁護士と、クライアントとの関係は、民主的な文民統制における、ミリタリー(軍人)と、シヴィリアン(政治家)の関係と同じです。 ・ミリタリー(軍人。弁護士の暗喩)は、奉仕すべきシヴィリアン(政治家。クライアントの暗喩)に対して、判断の前提たる選択肢を抽出整理し、上程します。 ・その際、各選択肢には、客観性を貫いた、怜悧なプ...

01974_労働事件における交渉条件提示を会社側が躊躇あるいは放置していることのリスク

労働事件において、交渉のテーブルに双方がついた状況で、「交渉を進めるための(会社側からの)妥協的条件提示がなかなかできない」ことに相手方がしびれを切らした場合、訴訟(ないし労働審判)に移行、という最後通告を受けかねません。 弁護士としては、クライアントである会社側から、方針について「了承」をもらわないことには、相手方に...

01972_任意整理と民事再生は別物その5_再生計画の前提

任意整理を希望する債務者が、民事再生を前提とするような再生計画(債権大幅カットと分割弁済)に、「債権者の多数の同意と認可を見込めるであろう」と企図しても、弁護士としては、その検討・構築には疑義を挟まざるを得ません。 弁護士に依頼さえすれば、債権者から”大幅な債権カットとカット後債権の分割弁済を受諾を得る”ことは可能であ...

01969_任意整理と民事再生は別物その2_任意整理の課題

任意整理において、額と期間の問題はトレードオフ課題で、・長期になると、債務者が楽だが、債権者は応じない・短期になると、債権者は落ち着く可能性があるが、債務者は辛いという状況です。 (債務者にとって)イージーなプランは、結果、債権者の大半が、そっぽを向く、という帰結を生みます。 一例を紹介しますと・・・ 債務者側は、絞り...

01968_任意整理と民事再生は別物その1

任意整理は、債権者の個別同意の集積体です。 和解契約の塊と考えてもいいでしょう。 契約自由の原則からすれば、どのような和解をしても自由、ということなのですが、「債権者平等の原則」から、返済原資を債権額に比例配分して、同じ期間で完済する、という制約が生じます。 また、契約相手が金融機関の場合、そのロジックに整合させないと...

01967_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その3_裁判所からしょっぱい対応を受けた「未払残業代事件」

保守的・体制寄りとかどうとかいう前に、未払残業代事件については、裁判所全体として、企業側にそうとう厳しい対応をしてくる、という認識を明確にもつべきです。 すなわち、・労働時間はきっちり管理させ記録させる、そして・記録された時間どおり、単価を乗じた労賃はすべてきっちり払わせる。・払わなければ、耳を揃え、利息をつけて強制的...

01966_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その2_「未払残業代事件での企業受難時代」の背景

裁判所が人権擁護に目覚めた、という側面がないとは言い切れませんが、むしろ、昨今の「未払残業代問題についての、徹底した労働者寄りの裁判所の対処哲学」は、日本の産業界の未来を憂いた、エスタブリッシュメントとしての確固たる信念に支えられているものと思われます。 すなわち、無料でいくらでも働かせる人的資源があり、企業がこれに依...

01965_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その1_企業側に立つとはいいがたい状況

裁判所は労使問題において、「常に、当然企業側に立つ」とはいいがたい、独特の哲学と価値観と思想を有しているように思われる節があります。 著者の経験上の認識によれば、裁判所には「会社の得手勝手な解雇は許さないし、従業員に対しては約束したカネはきっちり払わせる。他方で、従業員サイドにおいては、会社に人生まるごと面倒みてもらっ...

01949_「販売を伴う預託等取引は原則禁止」ということについて

「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」は、令和4年6月1日から施行されました。 預託等取引に関する法律は、販売を伴う預託等取引(以下「販売預託」といいます。)を原則として禁止しています。 ビジネスモデルを構築しようと検討する場合、1 預託法という規制規範を把握了解...