01793_相手方との小康状態をどう評価するか

相手方との争いにおいて、小康状態が続く場合、「小康状態が続いているのだから、もう大丈夫だろう。弁護士は、もういいだろう。不要だ。あとはこちらですすめよう」と、考える方はいますし、それは不可能ではありません。 その場合、弁護士としては、委任関係を曖昧にすることは職務上不可能であり、当然、相手方に対して辞任届けを提出するこ...

01792_権力とは、戦うものではなく、動かすもの_その2

「権力とは戦うもの」 というお題目を唱え、事あるごとに、権力空間や権力者に反目し、批判し、敵視するようなメンタリティをもつことは、民事裁判の仕事をする以前の段階で、不適格です。 権力と戦っても、勝てるわけがありません。 特に、司法権力については、日本最高・最強の権力機関です。 「カラスは白い」 「白鳥は黒い」というよう...

01791_権力とは、戦うものではなく、動かすもの_その1

権力と戦う弁護士はバカです。 他方で、権力に盲目的に服従するのもアホです。 権力は、動かすものです。 別の手法としては、権力を邪魔し、混乱させ、妨害し、足を引っ張り、困惑させ、ほとほと嫌にさせ、資源動員が成果に見合わぬことを自覚させ、ついには諦めさせる。 それが、権力空間におけるプロフェッショナルの本質的な活動の要諦で...

01790 _訴訟を提起する前に知っておくべきこと・ただしておくべき誤解・検討しておくべきこと_その1_「彼を攻めるには我を顧みよ」

訴訟を起こしたいという場合、最初にすべきことがあります。 それは、「彼を攻めるには我を顧みよ」というものです。 「囲碁十訣」の中にある一条であり、唐の時代の碁の名手、王積薪がまとめあげたと伝えられる、囲碁十ヵ条の要諦で、棋道普遍の真理です。 要するに、「敵(彼)と戦う前に、自軍(我)の欠点・脆弱性・過去の失敗をきちんと...

01789 _「報・連・相」での管理、監視にこだわる理由

企業活動は、大きく・オペレーションと・イノベーションに分類されます。 「仕事に困っている、客に困っている」という状況であれば、イノベーション課題として営業仮説を立て、これをPDCA(試行錯誤)によって仮説実現していくことになります。 PDCA(試行錯誤)を明確に把握した上で、管理・監視するには、「報・連・相」や監視にこ...

01788 _法的対処課題について_2種類の法執行権力

わが国においては、三権分立という制度運営上、2種類の法執行権力が存在します。「行政権力」と「司法権力」です。 2つの権力空間は近似していますが、 これらには明確な差異があります。 そして、弁護士は、おもに、 「司法権力が支配する空間におけるプロのプレーヤー」 すなわち 「裁判所という国家権力機関が支配する、司法権力空間...

01787_事業責任者が法務に相談したところ「当社の法務部から『特定の専門分野に関する法務課題は取り扱わない』と言い放たれてしまいました」という状況の病理性を分析し、法務部の役割を改めて考えてみる

事業責任者が法務に相談したところ「当社の法務部から『特定の専門分野に関する法務課題は取り扱わない』と言い放たれてしまいました」という事例がある企業で発生し、この事例についてコメントを求められたことがあります。 この状況を分析して、改めて、法務部のあり方を考え直してみましょう。 企業の法務部は、企業活動において生じるすべ...

01786_「弁護士に相談したあと、どうするか」を選択する、とは

1 初回相談でもう十分 1) 大まかな方向性をもとに、あとは自分で考え、実行する(悪手連発して取り戻しが効かない状況もあり得る2) この事件をなかったこととして無視する3) 自分で外交をやってみる〔悪手連発して取り戻しが効かない状況もあり得る〕) 2 もう一度、弁護士と打ち合わせをして、弁護士にはディスカッションパート...

01785_同じ法的対処課題であっても、民事紛争処理(司法権力空間におけるゲーム)と取締法規対処(行政権力空間におけるゲーム)は、まったく異なるゲーム(続)

特に、「言葉の壁:(日本語であることはわかるが、難しい漢字や読解難易度の高い文体で書かれているため、全体として、どこか遠くの国の知らない部族が古い時代に書いた象形文字の羅列のように)そもそも、何を言っているのか、何が書いてあるか、怒られているのか、褒められているのか、得なのか、損なのか、自分と無関係あるいは中立的なもの...

01784_財務省の奇策_請求認諾による訴訟の強制終了

森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんが原因で自殺した財務省近畿財務局の元職員、赤木俊夫氏の妻が、国と同省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた事件で、2021年12月15日、大阪地裁で国が、「請求認諾」という奇策を使って、約1億700万円の損害賠償責任を認め、訴訟を強制終了させてしまう、という事件が...