01981_労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら_その2

労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら、
「様々な選択課題を内包する、ケースないしプロジェクト」
として、“時間的冗長性”と“対処チーム組成”を考えなければなりません。

まず、認識すべきことは、この対処課題には、
「唯一の絶対的正解がない」
という厳然たる状況です。

あるのは、
「どれも正解とは、言い難い、いずれも難ありの、不正解やリスクが含まれた選択肢がいくつか」
で、
「その中から、よりマシな方法を選ぶしかない」
という状況だけです。

それは、
「実験環境における自然科学の問題」
ではなく、
「現実社会における人間関係から派生する社会的課題」
であり、しかも、
「自己制御課題」
ではなく、
「他者制御課題」
ですから、難易度や選択を誤った場合のリスクの計測の困難さは、言うまでもありません。

さらに言えば、状況観察・状況解釈上の選択肢もありますので、論理上、相当複雑多岐な選択課題について、対処する必要が出来します。

結局、多数の不正解の選択肢から、功利分析(メリット・デメリット、プロコン)を踏まえて、よりマシな選択肢を選び出し、選んだ選択肢を正解に近づける努力をするほかありません。

これらをふまえたうえで、
1 資源動員の意思決定
2 (解決までに、人員とコストとエネルギーを相当消耗することになるでしょうから)覚悟と心づもりを組織内で共有する
3 詳細なレポートを作成する
(1)概要
(2)登場人物
(3)時系列に整序された事実
4 1~3を前提として、アセスメントを実施し、プロジェクトマネジメント設計書を作成する(1)状況の認識、解釈、事態の展開や推移の予測
(2)先方の出方や法律実務上の経験則をふまえた、ゲーム環境(相場観)を把握・言語化
(3)現実的ゴール設計(相手の考え方や出方が不明で、ゴールすら描けない場合は、ゴール想定なしで、フォアキャスティング<場当たり的な出たとこ勝負・成り行き任せ>で状況変化をみる、という場合もある)
(4)ゴール(TO BE)と現状(AS IS)との間に立ちはだかる、課題抽出
(5)課題を対処するための、手段上の選択肢の抽出・プロコン(あの手、この手、奥の手、禁じ手、魔の手、寝技、小技、裏技、反則技を含めてあらゆる選択肢を想定)
(6)動員体制や役割分担
(7)前提や協力体制や環境変化に伴う、ゲーム・チェンジを予知し、想定共有しておく
を、すすめていくこととなります。

なお、伝聞によるミスコミュニケーションの弊害をなくすため、なるべく早く、オールハンズミーティングをセットアップし、プロジェクトの進捗や状況把握や課題共有化のための定例会議、さらには、これに向けた資源動員(人員拘束、予算、組織としてのエネルギー消耗の予定)を意思決定することが肝要です。

言わずもがなのことですが、最終決定をくだすのは、プロジェクトオーナー(本件帰趨によって、最終的に被害ないし責任を負担することになる、筆頭利害関係人・当事者)です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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