00031_「危なくなった取引先からの債権回収法」としての相殺活用テクニック

よく債権回収事故を減らすための知恵として
「あぶない取引先とは付き合うな」
といいますが、この言葉は、半分正しく、半分間違いです。

もちろん、あぶなくなった取引先が再建することを期待して、お金を貸したり、商品を掛けで売ったりするようなことは、回収できなくなる債権額を増やすだけであり、絶対禁物です。

他方、あぶなくなった取引先から逆に商品を掛けで買うなどして、当該取引先の債務額を増加させることは、相殺で回収できる額が増えますので、推奨される行動となります。

すなわち、
「あぶない取引先とは付き合うな」
ではなく、
「あぶない取引先からはどんどん掛けで物を買え」
というのが正しい行動です。

さらに高等のテクニックを紹介しますと、あぶなくなった取引先が債権を持っている先と組んでこちらの債権を譲渡したり、担保枠に余裕がある債権者に債権譲渡を行ない、担保枠を使った回収に相乗りさせていただく、という方法などがあります。

債権譲渡は債務者である当該取引先にいちいち承諾を取ることなく、こちらが一方的に通知を発するだけで手続が完了しますので、取引先を飛び越して譲渡先との話をつければ、あとは問答無用で実行できるのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです