00249_契約書のボリュームアップ化現象

日本の産業界では、ついこの前まで、どんなに大きな取引でも欧米流の分厚い契約書は嫌がられ、
「信頼関係」
という日本独特の美風と伝統に基づく、簡素な(というか法的にほとんど意味のない)契約書による取引(あるいは契約書すらあえて作らない取引)が尊ばれてきました。

また、
「契約書に想定しないような状況や契約文書の解釈に相違が生じた場合は、トップ同士酒食を共にして仲良く話し合い、それでもダメなら業界の顔役や監督官庁の指導で、解決を先延ばしにするなり適当に手打ちをする」
というやり方が支配的で、弁護士に依頼して裁判で徹底して自己の主張を展開するなんて下品なことはまず行なわれませんでした。

ところが、市場が縮小し業界内競争が熾烈化するとともに、
「規制緩和」
の流れの中で役所も業界のリーダーも業界内秩序維持の役割を放棄するようになりました。

さらに、外資や新興企業の参入が常態化するようになると、古き良き取引文化は消滅し始め、欧米流の法的合理性に基づく取引構築が主流となってきました。

最近では、
「ペラペラの適当な契約書はイヤ、欧米流のきっちりとした契約書を作成してほしい」
という要望を持つクライアントが増えてきました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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