00284_会社法に定める「特別清算」を活用する場面

会社法には、清算と破産のハイブリッド型の手続が用意されています。

会社法510条には、
「債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態)の疑いがある」
場合には、特別清算手続が可能とされています。

この特別清算手続ですが、裁判所の監督はあるものの後見的な監督にとどまり、破産手続のように管財人が派遣されて会社運営権が取り上げられるものではなく、会社が選定した清算人により自主的に清算手続を進めることができます。

そして、債権者と自主的に話し合い、ネゴが成立すれば、裁判所のお墨付きを得て、スピーディーに清算手続が完了します。

特別清算のおいしいところは、この
「債権者とのネゴOK」
というところです。

ある債権者は債権をとっとと全部放棄して税務上償却してしまうことを考えるかもしれませんし、ある債権者は親会社との何らかの取引とバーターで一部放棄するかもしれませんし。

このようなさまざまな思惑を、清も濁も全部ひっくるめ、ネゴが成立すれば、債務超過会社でも
「破産」
ではなく、
「清算」
という形で会社を解体してしまえるのです。

すなわち、裁判所の監督を受けるので、外見上、透明性ある手続のように見えますし、対外的には、
「破産なんて、とんでもない。当社は、役割を終え、円満に清算したんですよ」
という取ってつけたような弁解も可能になります。

特別清算の過程で放棄・免除した債権も、無税償却(税負担のない債権の償却・貸し倒れ処理)の検討も可能となり、税務メリットも享受することも検討の俎上に乗ります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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