00328_日本企業法務史(2)護送船団行政全盛時代における「企業の法務課題処理方法」

1980年から1990年代にかけて、企業がトラブルや問題が生じたときに駆け込むのは法務部や顧問弁護士のところではなく、まずは、監督行政機関や業界団体でした。

監督行政機関からの指導に対しては、阿咋の呼吸で伝えられるものも含め、徹底して従うことが企業のリスク管理行動として最も推奨されるものでした。

監督行政機関の見解を糺すべく法令解釈の照会を求めたりすることは自粛されていましたし、行政処分を争って行政訴訟を提起することは狂気の沙汰でした。

現在ではカルテルや入札談合などとして社会的非難を浴びることから忌避されるのが通例となっている業界内部での業者間の親密な関係構築ですが、当時は、このような競争者間の協調関係は、護送船団行政の効果を高めるものとして、明示あるいは黙示に推奨されていました。

取引関係は、
「仲のよい、お互い見知った者同士」
の間でなされることから、契約よりも人間関係で取引が展開し、契約書の記載の不備を指摘する者はおらず、契約書自体が存在しないことすら誰も気にしませんでした。

そしていざ企業間で紛争が生じても、契約書の不備をめぐって裁判所で喧々囂々と争うことも稀で、血気盛んに裁判に臨んだところで、裁判手続自体、一審で2年、3年かかることは当たり前であり、最後はどうでもよくなって、適当なところで折り合いをつけることがほとんどでした。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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