00382_「残業代を減らすための代替休暇」制度の効用

労働基準法の労働時間に関する規定として、
1 1カ月の時間外労働の時間が60時間を超えた場合の割増賃金率を50%以上とすること(ややこしいのですが、「通常の割増賃金」と割増率と取り扱いが異なるので「上乗せ割増賃金」といいます)
2 「上乗せ割増賃金」部分を休暇に振り替える代替休暇制度
3 有給休暇を「時間」で取得する制度
等が定められています。

2の代替休暇制度についてですが、前提として、そもそも、雇用者が、1日8時間、週40時間を超える労働をさせる場合、労働基準法36条に基づいた、いわゆる時間外労働に関する労使協定を締結しなければなりません。

そして、当該時間外労働分については、従来、25%以上の割増賃金を支払うものとされていました(「通常の割増賃金」)。

ところが、労働基準法上、1カ月の時間外労働の合計が60時間を超える場合、雇用者は、当該60時間を超える部分について、50%以上の割増賃金を支払わなければならないこととなりました(「上乗せ割増賃金」)。

整理しますと、1カ月の時間外労働について、
60時間を超えない分は25%以上の割増賃金を、
60時間を超える部分については「さらに」25%以上を「上乗せ」した割増賃金(合計50%以上)を
支払わなければならないこととされました(ただし、一定の資本金額に満たない中小企業には「当分の間」は適用されないこととされております〔労働基準法138条〕が、2023年4月から中小企業にも適用される予定です)。

なお
「上乗せ割増賃金」部分
に関し、支払いに代えて休暇を付与する、という制度が法定されています。

なお、これは、グッタリするほど長時間勤務した労働者に休暇を与え、リフレッシュさせるという労働者のための制度ですので、
「上乗せ」分
を休暇とするかどうかは、労働者の意向を踏まえることが必要となります。

すなわち、実施する上では、あらかじめ、労使協定をもって
「幾らの割増賃金」

「何日の休暇」
とするかなど、その換算率などを定め、その上で、就業規則に休暇の種類のひとつとして規定しなければなりません。

以上のとおり、残業代の割増率は、60時間を超えたあたりから一挙にハネ上がることになりましたので、繁閑の差が激しい業態の企業では、
「バカ高くなった残業代を、カネの代わりに休暇で払いたい」
というニーズが少なくありません。

もっとも、この代替休暇制度は、あくまで
「上乗せ割増賃金」部分を休暇に代える制度
であり、
「通常の割増賃金」
は、原則どおり、カネで精算しなければなりませんので、この点、十分注意してください。

割増賃金をもらうか、その分を休暇とするかは、あくまで労働者の選択によるものなので、無理強いはできません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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