00431_「暴力団対策法に基づく中止命令」の活用テクニック

暴力団への対抗策としては、伝統的な方法である刑事告訴や民事手続以外に、暴力団対策法(以下、「暴対法」)に基づく措置も検討すべきです。

暴対法は、暴力団員などが市民生活に不当に介入する行為を
「暴力的要求行為」
として類型化し、これらの行為が行われた場合、警察署長に対して当該行為を禁止する命令(中止命令)を発する権限を付与しています。

そして、中止命令を申し立てる際、暴力的要求行為を行っている本人のみならず、当該暴力団員が所属する組織の代表者等も中止命令の対象者とすることができる、という点が重要なポイントになります。

すなわち、組織のトップに中止命令が発令された場合、
「暴力的要求行為」
を行っている者にとっては、
「目上の者には絶対に迷惑をかけられない」
という状況となるため、
「暴力的要求行為」
を萎縮させる効果を与えることができるのです(暴対法では、暴力団員による一定の不法行為に関し、暴力団の代表者に無過失の責任が課されるようになっています)。

以上のとおり、暴対法上の中止命令には、
「組織内の上下関係が効果的に働き、事案を早期かつ劇的に解決することができる」
という巧妙なメカニズムが内包されているのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです