00532_営業秘密を法的に保護するための機密管理体制構築のポイント

ノウハウ等の会社の機密をきちんと管理する上で、以上のように従業員に守秘義務を課しただけでは不十分となる可能性があります。 

すなわち、営業秘密については、その会社の機密管理体制が問われるため、この条項を盛り込むのを機に、機密管理体制の構築も図るのがいいでしょう。 

そもそも機密情報というのは、顧客データであれ何であれ、それが機密と明示されてはじめて法的保護の対象となる営業秘密となります。

たとえ会社にとって重要な情報であっても、機密明示のない情報については、従業員が持ち出しても、法律問題として責任追及できる可能性が低くなります。

つまり、会社の主観として、どんなに高度な機密情報であっても、社内のあちこちに雑然と転がっていたり、ネット上のオープンな環境にさらしていたりして、来社した取引先が普通に見ることができたり、ネット上で自由に閲覧できるようなら、機密情報とはなり得ないわけです。

具体的には、紙ベースであるなら、マル秘スタンプを押印する。電子データであるなら、パスワード管理などを通じて誰でもアクセスできないようにする。

実に簡単なことですが、大きな企業でもこの種の管理構築に対する投資や労力負担は怠りがちです。

こうして機密管理体制が構築されていれば、万が一外部に持ち出されても、持ち出した者を法律違反として問うことができます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ
当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ

企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

弁護士法人畑中鐵丸法律事務所
弁護士法人畑中鐵丸法律事務所が提供する、企業法務の実務現場のニーズにマッチしたリテラシー・ノウハウ・テンプレート等の総合情報サイトです