00574_民事の被告弁護の手法:侵害論(注意義務違反等)は争えないとしても、損害や因果関係について、しぶとく争う

損害賠償請求訴訟における被告弁護とは、 平たくいえば、相手の法的要求に「ケチや難癖をつける」ことです。 逆に原告側は、いかに相手にケチをつけさせないようにするか、そのために相手方としても争いようのない事実や客観的な明らか証拠により証明できる事実に整合する形で法的主張を考える、ということになります。 例えば、取締役が、債...

00573_取締役の重い責任から解放するロジックとしての「経営判断の原則」

会社をつぶしたら取締役はその損害すべてについて責任を負わなければならないか、というと、必ずしもそうではありません。 たしかに、取締役は、株式会社から経営の委任を受けた者として、高度の注意義務を負っています。 ですが、他方、キリスト教世界に地獄があるように、資本主義社会に倒産はつきものであり、倒産したら取締役がすべて結果...

00572_裁判所提出書面への「読ませる工夫」:(4)相手が争いようのない客観証拠を共通認識としてストーリーを構築していく

裁判に提示すべき事実とは、具体的な事実を、客観性がある形で、あるいは相手が争いようのない形で、呈示していくと、裁判官としては非常に事案を認識しやすい、ということになります。 明らかに相手が否定するであろうような形で事実を主張することは、紛糾の原因になるだけで、時間とエネルギーの無駄ですし、裁判官もあまり良い印象をもって...

00571_裁判所提出書面への「読ませる工夫」:(3)要件事実を意識しながらストーリーにメリハリをつける

裁判官は、紛争解決を導く上で必須あるいは本質的な事実とそうでない事実、そうでない事実についても重要なものと不要なもの、という形で事実を階層化して認識していきます。 「紛争解決を導く上で必須あるいは本質的な事実」を要件事実とかいったりしますが、提出文書においては、このツボを押さえることが必要です。 その他の事実、すなわち...

00570_裁判所提出書面への「読ませる工夫」:(2)修飾語やレトリックは「法曹禁止用語」としてなるべく使わない

素人の方からは意外に思われるのですが、弁護士は事実を語るのであって、相手を非難するのが活動の本質ではありません。 裁判所としても、事実に基づいてどちらかの当事者を勝たせるのであって、人間性や雰囲気や印象によって勝ち負けを決めているわけではありません。 その意味では、書面に「不当」「非常に公平を欠く」「誠実とはいえない」...

00569_裁判所提出書面への「読ませる工夫」:(1)10頁の原則

裁判所に提出する書面のボリュームについては絶対量というのが存在しますが、これがだいたい10頁といわれています。 依頼者からすると言いたい事は山ほどあるのでしょうが、高度な専門性をもつ医療訴訟や知的財産権訴訟、商事紛争を別とし、通常の訴訟であればだいたい10頁もあれば相当な情報量になるので、これ以上書くと裁判官が読んでく...

00568_訴訟弁護士として、「対裁判所外交(渉外活動)」展開上、注意すべきポイント3:文書を負荷なく読んでいただくための工夫

訴訟においては、訴状、答弁書、準備書面という形で訴訟の進行に応じて様々な書類を裁判所に提出します。 法律家は、小難しいことを書いた大量の文書に常に接しているため、速読に長けた人が多いですし、裁判官も例外ではありません。 ですが、速読に長けたスーパーマンといえども、仕事として義務感でやるからできるわけで、小難しい文書を長...

00567_訴訟弁護士として、「対裁判所外交(渉外活動)」展開上、注意すべきポイント2:早めの心証形成に協力

裁判官には早めに事件の全体像をみせてあげることが重要です。 裁判官は時間がありません。 弁護士が忙しいといっても、長時間かけて晩飯を食ったり、銀座でクラブ活動をしたり、ヨットに乗ったり、ゴルフに行ったりする程度には時間的余裕があるものですが、裁判官の忙しさは殺人的です(実際、忙しさで病んでしまい、自殺者が出たりもします...

00566_訴訟弁護士として、「対裁判所外交(渉外活動)」展開上、注意すべきポイント1:納期厳守

訴訟弁護士といっても、実体は、裁判所というお役所の出入りの業者みたいなものです。 そして、出入りの業者風情が納期を遅らせたら出入禁止になるのと同じで、納期厳守は絶対です。 訴訟を遂行する上では、様々な課題の提出が要求され、そのすべてについて納期が設定されます。 曰く、何時何時までに、この点を調べてこい、この点について主...

00565_裁判所への「自己の事案認識」を売り込むセールスを展開する際に、認識しておくべき前提環境(ゲーム環境及びゲームルール)

石田鈍一さん側の代理人としてどのような行動を取るべきかにつき、まず訴訟に対応するための全体の指針をのべ、さらに、本件で問題となるべき点を個別に解説していきたいと思います。 これまで述べてきましたとおり、弁護士にとって本件解決のキーマンは裁判所であり、裁判所という「お客さん」をいかにこちら側に引き寄せるか、ということが活...