00568_訴訟弁護士として、「対裁判所外交(渉外活動)」展開上、注意すべきポイント3:文書を負荷なく読んでいただくための工夫

訴訟においては、訴状、答弁書、準備書面という形で訴訟の進行に応じて様々な書類を裁判所に提出します。

法律家は、小難しいことを書いた大量の文書に常に接しているため、速読に長けた人が多いですし、裁判官も例外ではありません。

ですが、速読に長けたスーパーマンといえども、仕事として義務感でやるからできるわけで、小難しい文書を長時間読まされることが苦痛なことには変わりありません。

訴訟事件というのは、過ぎ去ったことを、あいまいな資料をもとに、事実が
「あーだった、こーだった」
と言い争うわけですから、つまんないことが一杯書いてあるわけです。

自分自身にとっては、関心も興味もない、つまんないことが延々書いてある長文を読めというのは、上記のとおり非常な苦行なわけですが、当事者が裁判官に求めているのは要するにそういうことです。

「裁判官はお客様」
であり、
「お客様は神様(Customers are always right.)」
なわけですが、
「『訴訟において言い分を書いた書面を提出するということ』は、『尊い神様に苦行を強いている』のと同じである」
という自覚が必要であるとともに、少しでも神様を苦行から解放させてあげる努力が必要です。

要するに、
「言いたいことを、言いたいだけ、言いたいように書きつらねる」
というスタンスは神様である裁判官の印象を非常に悪くするわけで、
「たたり」
ならぬ
「敗訴判決」
が下されることになります。

逆に、尊くおわします神様ならぬ裁判所様に、恐れ多くも畏くも、当方のお目汚しの駄文を読んでいただく以上、少しでも負荷なく、あるいは楽に読んでもらうため、提出文書に工夫や配慮をしておくと
「あとできっといいことがある」
ということになります。

どの弁護士さんも、裁判に勝つため、あるいは和解交渉を有利に進める環境を作るため、裁判所提出書面には
「読ませる工夫」
をされているようですが、代表的なものとしては、

1 10頁の原則
2 修飾語やレトリックは「法曹禁止用語」としてなるべく使わない
3 要件事実を意識しながらストーリーにメリハリをつける
4 相手が争いようのない客観証拠を共通認識としてストーリーを構築していく

といったものです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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