00785_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する16:裁判官のココロを鷲掴みにするための推奨行動(3)「裁判官にとっては、どうでもいい、ツマンナイ事件の情報」をなるべく負担なく読んでいただく工夫をすることの意義・重要性

訴訟が始まりますと、訴状、答弁書、準備書面という形で訴訟の進行に応じて様々な書類を裁判所に提出していくことになります。

法律家は、小難しいことを書いた大量の文書に常に接しているため、速読に長けた人が多いですし、裁判官も例外ではありません。

とはいえ、速読に長けたスーパーマンといえども、仕事として義務感でやるからできるわけで、小難しい文書を長時間読まされることが苦痛なことには変わりありません。

そもそも、訴訟事件というのは、過ぎ去ったことを、あいまいな資料をもとに、事実が
「あーだった、こーだった」
と言い争うわけです。

当事者にとっては切実な話であっても、第三者からすると
「死ぬほどツマンナイこと」
が一杯書いてあるわけです。

事件と関係のない第三者である裁判官にとっては、
「自分にとって関心も興味もない、ツマンナイこと、が延々書いてある長文を読まなければならない」
というのは、前述のとおり大変な苦行なわけですが、
「誰からも干渉を受けることなく、事件に関し当事者の生殺与奪を自由にできる絶大な権力を保持し、エラく、尊く、おわします裁判官」
に対して、当事者風情が求めようとしているのは、要するにそういう
「負荷のかかるシンドイこと」
なのです。

「裁判官はお客様、お客様は神様」
とも言うべき存在ですが、そんなにエラい裁判官様に身勝手な願いを聞いてもらい、自分だけ有利な判断をもらおうと目論むのであれば、
「『訴訟において言い分を書いた書面を提出するということ』は、『尊い神様に苦行を強いている』のと同じである」
という自覚が必要であるとともに、少しでも神様を苦行から解放させてあげる努力が必要なことはご理解いただけると思います。

要するに、
「言いたいことを、言いたいだけ、言いたいように書きつらねる」
というスタンスは神様である裁判官の印象を非常に悪くするわけで、
「祟り(たたり)」
ならぬ
「敗訴判決」
が下されることになります。

逆に、少しでも楽に読んでもらうため、提出文書に工夫や配慮をしておくと、
「あとできっといいことがある」
ということになります。  

訴訟弁護士は、裁判に勝つため、あるいは和解交渉を有利に進める環境を作るため、それぞれ独自の方法で、提出書面に
「読ませる工夫」
をされているようですが、こういった努力や工夫が非常に意義と価値があり、重要性をもつことは言うまでもありません。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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