00787_紛争・有事状況のゲーム環境たる裁判システムを理解する18:裁判官のココロを鷲掴みにするための推奨行動(5)「裁判官にとっては、どうでもいい、ツマンナイ事件の情報」をなるべく負担なく読んでいただくための具体的工夫(ⅱ)修飾語やレトリックは「法曹禁止用語」

素人の方からは意外に思われるのですが、弁護士は事実を語るのであって、華麗な言葉で相手を非難するのが活動の本質というわけではありません。

裁判所としても、事実に基づいてどちらかの当事者を勝たせるのであって、派手な言葉や、声の大きさ、見た目や雰囲気や印象によって勝ち負けを決めているわけではありません。

その意味では、書面に
「不当」
「非常に公平を欠く」
「誠実とはいえない」
「明白に虚偽といえる」
「明らかに矛盾する」
等形容詞や副詞(これらを総称して「修飾語」と言われます)をずらずら書きつらねられても、裁判所としては困るわけです。

裁判所としては、
「何時、誰が、どこで、どのようなことを、何回した」
から
「不当」
と評価できるのか、その評価の根拠となるべき事実を、具体的かつ客観的な事実を知りたいのです。

裁判官の中には、当事者の書面から修飾語を意識の上で墨塗りして読む人もいると聞きます。

「レーズンが嫌いな人にとってのレーズンパンの中のレーズン」
のように、あるいは
「ニンジンが嫌いな人にとっての、ミックスベジタブルの中に入ったニンジン」
のように、事実こそを重んじる裁判官にとって修飾語ほど迷惑なものはありません。

死ぬほど忙しい裁判官にいちいち墨塗りいただく手間をかけさせるのもよろしくないので、
「評価の根拠となる事実を書かず、華麗な修飾語やレトリックで相手を非難し、書き手の弁護士と当事者だけが悦に入っているような文書は、原則NG」
と考えておくべきです。

実際
「訴訟によく勝つ弁護士さんの文書」
というのをみますと、主観的な印象や評価がまったく書かれておらず、客観的な事実だけを拾っただけのシンプルな文書で、全体として拍子抜けするほど素っ気ない書きぶりです。

ですが、そういう文書ほど、裁判官にとっては、スッと事実関係が頭に入ってきて、知らない間に頭の中が
「書き手のシナリオ」
で染め上げられてしまうものなのです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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