00889_米国の法体系3:アメリカ法の複雑で非効率な負の側面

日本において、近代国家に至るプロセスにおいて、戊辰戦争や西南戦争といった内戦を経て封建的体制が一掃され、国を貫く統一的な法律インフラが整備されました。

ところが、アメリカは、内戦(南北戦争)を経てもなお、分散した州の権限を合理的に集約し、整備統一化することができませんでした。

そのため、現在のような法制度や裁判制度の統一性における致命的欠陥を抱えた状態になっているのです。

以上のように、
「法律先進国」
どころか、度量衡(アメリカにおいては、10進法に基づかないヤード・ポンド法がいまだに使用されています)や紙の寸法規格(“何回半分に折っても永久に相似形が保たれる”国際的規格であるISO216ではなく、独自のローカル規格を頑なに固持)と並び、アメリカの法体系は、
「統一的で体系的で論理的で合理的に理解することが可能な日本法に慣れた企業」
からみると、
「腹立たしいくらい不合理で、時代遅れも甚だしい代物」
と感じるかもしれません。

いずれにせよ、アメリカに進出をしたり、アメリカ法に準拠した取引を実施する場合、アメリカはこのような複雑で非効率ともいえる法令環境を有している、ということを十分理解しておく必要があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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