01271_知的財産法務>知的財産及び情報マネジメント法務。経営資源「チエ」の調達・活用に関する個別法務課題>知的財産法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>ポイント

ある一定のノウハウ等に関して権利化を行い、これを企業内の財産として把握し、排他的な権利とすることを
「知的財産の権利化」
といいます。

法律上保護される
「権利」
なのですから、それを取得するために様々な要件が存在します。

すなわち、
「権利化」
することを目指すのであれば、これら要件を欠くこととならないように、当初から新規性やノウハウ等の管理等に関して十分に配慮しておく必要があります。

知的財産の権利化を図ることは、権利化の対価として、その知的財産について
「公開」
することが必要となります。

この場合、権利化をすることで、ライセンス料等を稼ぐことができるわけですが、知的財産を隠しておくという手段も考えるべきです。

すなわち、
「公開」
せずに技術的優位を保持したまま、市場で優位を築く手法です。

この場合、仮に何らかの形で技術が漏洩するようなことがあれば、権利行使をすることは困難となりますが、当該技術の優位性や、会社の生産能力等との兼ね合いで、かかる
「非権利化」
との選択肢をとることも十分にありうることと考えられます。

知的財産を用いることにより、どのようにして収益を生み出すかについては、様々な考え方があります。

例えば、生産能力が十分でない企業であれば、有償ライセンスを行うことで利益の配分を獲得することでしょうし、自らが特許権を持っていなくとも生産能力に優れていれば、一定のライセンス料を支払うことで市場を席巻することが可能となります。

このような観点から、アライアンスを構築したリライセンス契約を締結することによって
「チエ」
を収益に結びつかせることが考えられるわけですが、このような場合には、当該権利が無効になることも念頭に置いた上での、
「契約法務」
が活躍すべきであるということができるでしょう。

一方で、純技術的に、特定の商品を市場に出す場合に、第三者の特許権を用いたいものの当該特許権の許諾を受けるには多額の費用を要するなどという場合には、当該特許の周辺特許を取得し、クロスライセンス契約に導くなどの特許戦略をも検討すべきです。

すなわち、特許戦略を練る上では、技術的範囲やその高度さに拘泥するのではなく、最終的にどのような形で市場に出うるのか、というマーケットを意識した戦略を構築する必要があります。

特許権の効力範囲に関しては、
「各国の特許権の効力は、当該特許権を取得した国の主権が及ぶ領域内においてのみ認められ、その領域外には及ばない」
という原則(属地主義)が適用されます。

すなわち、A国で登録された特許権は、A国の範囲でしか効力を有さず、外国においては、当該外国で登録されていない限り、特許権が効力を及ぼすことはありません。

逆に言えば、日本国内で登録されていない海外特許については、(生産・使用・譲渡等の実施行為が国内で完結する限り)、いくらパクっても咎められることはありません。

この点、属地主義をふまえながら、
「国内登録されていない外国特許」
をどのように戦略的に対応すべきか、という点については、本ブログにおいて後述しますので、参照してください。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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