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個人情報漏洩有事が生じた場合の対応のフローとしては、次のものを想定すべきです。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

被害者への損害賠償に関しては、ビジネス上の観点を重視して実施すべきです。

すなわち、法的な観点では、そもそも何らかの契約違反なり権利侵害があったとしても、現実的損害が明らかでなく、ましてや被害者から具体的な請求がなされていない以上、漏洩当事者側に賠償すべき義務は一切生じえません(侵害事実はあっても、損害が確認できないためです)。

無論、仮に損害賠償を実施するにしても、漏洩された情報内容や個人に対して与えた経済的損害や精神的苦痛の軽重によっても賠償額は当然違ってくるものといえます。

この意味では、有事の際に
「個人情報漏洩が生じた場合は最低1人○○円」
等という類のアドバイスは、少なくとも法的には全くミスリーディングと言わざるをえません。

ただ、法的な損害賠償義務はないからといって、このような態度を貫くことが必ずしも正しいとは言い切れません。

「請求や立証なければ賠償なし」
という法的に正しい態度を表明することによって重篤な顧客離れが生じて企業の収益が悪化してしまっては全く意味がありません。

個人情報漏洩が生じてしまった場合の賠償問題においては、法的には確定したルールがない以上、賠償や顧客への対応は、ビジネスマターとして決すべきです。

この面からは、例えば、
「1人一律5,000円」
といつた画一的な金銭賠償を行うのではなく、
「危機をチャンスに変える」
発想で、新商品引換券を配ったりするなどの方法で、ビジネスチャンスを創出していく打開策も積極的に検討すべきです。

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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