01300_独禁法実務>法人向営業に関する個別法務課題>独禁法実務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>システム構築

企業の営業・販売活動において近時法令違反が増えているカルテルや談合を例に、独占禁止法違反予防のためのコンプライアンス法務(内部統制システム構築・運用法務)の進め方を述べたいと思います。

まず、カルテル(不当な取引制限)に関してですが、カルテルの恐ろしいところは、企業間に意思の連絡がなくともカルテル行為と認定される可能性があるという点です。

カルテルに関しては、業界における会合等において価格協調や数量調整の話が出ても
「寄らぬ・触らぬ・近づかぬ」
というスタンスを取ることが推奨されます。

そして、そのことを担当営業マンに守らせること、さらに言えば、守らざるをえない環境を整備し運用すること(コンプライアンスプログラムの策定・運用)が何より重要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

もちろん、話し合いに参加しなかったからといって協調的価格引き上げも御法度です。

前記のとおり、むしろ、業界全体が価格を協調的に引き上げる中、暗黙の期待を破り、価格を
「引き下げる」
ことこそが、経済上も法律上も望ましい行動ということになります。

談合もカルテルと同じく、
「李下の冠」「瓜田の履」
の故事のとおり、疑わしいことも含め根絶する姿勢が重要です。

かつて、談合といえば、日本の多くの企業の共存共栄を目的とした協調的経営文化として強くは違法視されていませんでした。

しかし、大型倒産(負債総額1億円以上)において談合による指名停止処分等が原因で倒産した件数は146件中20件に及んでおり、談合を継続することによる法的リスクは非常に高まっているものといえます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

企業によっては、他企業との協調が長年の慣習となっており、談合体質から脱却できないところもあるようですが、談合が発覚した場合企業の存亡に影響を及ぼす結果を招来する、ということを意識すべきです。

特に、入札談合は、大きなペナルティを伴うものとして認識すべきであり、
「会社の営業成績のため」
等という善意の動機によるものも含め、 トップが明確な意思と効果的なシステムを整備し、徹底的に排除することが必要です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

さらに、商品等を生産する企業は、最終的な小売価格を維持するために、卸し業者等に対して、値引き販売を禁止する等の価格拘束を求めることがありますし、ブランド価値の維持のために対面販売を義務づける等の販売方法についての指示を行うこともあります。

運営管理コード:CLBP411TO414

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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