01320_消費者法実務>消費者向営業活動に関する個別法務課題>特殊な課題・新たな課題>最近の事件>特定商取引法関連

2009年5月、経済産業省は、学習教材等の訪問販売・学習指導等を行うゼンケン教育システム株式会社(東京都新宿区)に対し、特定商取引法に違反するとして、訪問販売について3ヶ月間の、特定継続的役務提供について6ケ月間の、それぞれ一部業務停止を命じ、かつ、不実告知の点について特定商取引法違反である旨を購入者に通知することを指示しました。

同省によれば、同社は、消費者宅を訪問して
「今回、紹介するものは、重要ポイントをプリント3枚くらいにまとめてあり、テスト問題はここから出ることが多いと示してある」
などと根拠のない説明で勧誘を行ったり、
「解約はできない。そんなのは自己責任でしょ」、
「クーリングオフ期間は過ぎたのでできるわけがない」
などと虚偽の事実を述べて契約の解除を妨害していたとのことです。

2012年6月、消費者庁は、
「必ず値上がりする」
などとウソの説明で、二酸化炭素(CO2)の排出量取引を勧誘していたとして、特定商取引法違反(不実告知など)に基づき、訪問販売業者「やよいトレード」(東京)に一部業務停止命令(期間は1年間)を出しました。

消費者庁によれば、同社は2011年1月ごろから、CO2排出量取引の訪問販売を開始し、営業担当者が顧客に
「これから火力発電に頼るようになる。CO2排出量の値段は必ず上昇する」
などと断定的な表現で勧誘するなどしていたようです。

なお、CО2の排出枠取引は、ロンドンの欧州気候取引所(ECX)で売買されていますが、同社が実際に取引した形跡はないということです。

2013年9月、消費者庁は、
「選ばれた作品」
などとうそをついて小説などを自費出版するようしつこく勧誘したのは特定商取引法違反(不実告知など)に当たるとして、出版社の日本文学館(東京・新宿)に新規勧誘などの業務停止(期間は3ヶ月)を命じました。

同庁によれば、同社はホームページや月刊誌で小説や詩を募集したり、応募者に電話をかけ
「選び抜かれた作品」
などと優秀作であるかのように装って自費出版を勧め、断っても
「印税を出版費用に充てられる」
としつこく誘うなどしていたようです。

また、契約した人が負担した出版費用は63万~約100万円であったのに対し、 1千冊以上売れても印税収入は数万円であった、とされています。

一部業務停止命令自体の損害も大きいですが、こうした具体的な事実認定とその公表等による企業信用の毀損は非常に大きいものと言えます。

運営管理コード:CLBP449TO450

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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