昭和の営業、平成以降の営業の違いを述べてきましたが、もっぱら、後者、現代型営業活動について述べさせていただきます。
営業については、
コンシューマー向けの営業活動(Business to Consumer、BtoCあるいはB2Cなどといわれます)と、
法人向け営業や企業間取引営業(Business to Business、BtoBあるいはB2Bなどといわれます)とで、
基本的なロジックや活動スタイルが異なりますので、2つに分けて解説していきますが、まずは、前者、コンシューマー向の営業活動(BtoC)についてです。
「すべての商品はコモディティ化する」
という命題があります。
無論、サービスも同様、すべて日用品化し、陳腐化していく運命にあります。
衣食足り、モノやサービスがあふれ、消費者の目が肥え、究極にワガママになった現代において、
「フツーのものをフツーに作って、フツーの値段で、フツーに売ろう」
としても、消費者にそっぽを向かれ、早晩倒産してしまいます。
結局、
・圧倒的な入手しやすさ(価格や購入方法の簡便さ等)
・圧倒的なクオリティ(品質や機能)
・圧倒的な刺激・目新しさ
のいずれか又はすべてにおいて、消費者の支持を得ない限り、モノやサービスは売れないのが現代です。
すなわち、営業活動においては、
「怠慢を戒め、以上のすべての要素を常に改善されるよう、たゆまぬ努力をするしか企業が生き残る道はない」
というのがシンプルな結論です。
商品やサービスを、
「値段が高く、入手が面倒くさく、品質や機能も陳腐なままで、長い時間同じものを売っている」
ような怠け者の企業は市場からとっとと退場を命じられます。
逆に、品質や価格において常に消費者の支持を得られるように改善を続けていき、また、リニューアルや新商品や新サービスを恒常的に提供し続けることができる企業は生き残ります。
よく、デフレでモノが売れない、などという声が産業界から聞こえます。
じゃあ、
「インフレになったから、昭和時代のように、モノがバカスカ売れるか」
というと、そんな甘い話にはなりません。
アベノミクスで市中にカネがあふれ、貨幣価値が下がり、これに加えて、コロナ禍で史上空前の金融緩和が実施されましたが、
「若い世代が新車を争うように買ったり、デパートで高級品を買い漁ったり、高級ホテルやレストランでバンバン飲み食いする」
なんて景気のいい話は寡聞にして知りませんし、今後、さらなる金融緩和やインフレが進んでも、そんな事態にはならないでしょう。
顧客の欲求・現実・価値に真摯に向き合い、方向性を誤らず、誠実な努力を重ねることによって、営業活動が成功する。 実につまんない話ですが、これが営業という仕事のすべてです。
初出:『筆鋒鋭利』No.93-1、「ポリスマガジン」誌、2015年5月号(2015年5月20日発売)
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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