01661_企業法務スタンダード/企業法務担当者(社内弁護士)として実装すべき心構え・知見・スキル・仕事術、所管すべき固有の業務領域(4)_ルーティン(正解や予定調和を観念できる業務)と非ルーティン(非定型業務・正解がない、正解が複数ある、正解があるかないかすらわからない事件や事案)

ビジネス課題、すなわち、金儲けという活動に関連する課題対処についても、 ルーティン(正解や予定調和を観念できる事案)と非ルーティン(正解がない、正解が複数ある、正解があるかないかすらわからない事件や事案)があり、仮に非ルーティンのプロジェクトに失敗したとしても、それで企業が危機に陥ることは稀です。

しかしながら、法務課題、すなわち法務安全保障や事件対応や有事(存立危機事態)対処については、 非ルーティンをルーティンと誤解して対処に失敗したり、非ルーティンについて制御不能に陥って、ダメージ・コントロール(損害軽減措置)にも失敗した場合、企業が存立し得ない危機に陥る場合があります。

当然ながら、法務の非ルーティンについては、プロジェクト設計や資源動員の方法や、外部資源調達・運用など、ビジネス課題対処とまったく異なりますし、しかも、トップ以下経営陣も、ビジネス課題対処については専門家であっても、法務安全保障や事件対応や有事(存立危機事態)対処はド素人です。

・今、自分の対処している法務課題に正解や予定調和が想定できるルーティンなのか非ルーティンなのか、
・非ルーティンと思い込んでいるがそれは自分が無知・未熟・未経験・無能故であって実は正解があるのではないか、
・ルーティンと楽観的に考えているが実は大きな間違いで想定していない未経験のリスクや障害が見えていないだけでこの先大変なことなのではないか、
・非ルーティンで自分もトップ以下経営陣も無知・未熟・未経験・無能なため外部の専門家を招聘し対処を委ねているがこの「正解や予定調和を知っている」という顔をしている専門家は本当に正解や正解に至る方法論を知っていて任せていて大丈夫なのだろうか、
・自分たちが直面している事態は今任せている専門家を含めてこの世の誰も正解を知り得ない事態であって本当はもっと別の対処方法を構築したり、既に対処不能・制御不能に陥っていて、ダメージ・コントロール(損害軽減措置)等別のフェーズのアクション想定をすべきではないのか、

といったことを考えるべきことも必要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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