01700_🔰企業法務ベーシック🔰/企業法務超入門(企業法務ビギナー・ビジネスマン向けリテラシー)11_法人制度

1 法人制度とは

企業のほとんどは、株式会社、という形態で営まれます。

この株式会社は、営利社団法人であり、広いくくりでいうと
「法人」
の一種です。

そして、日本の法人の中でもっとも数多いものであり、
「法人」
の代表選手といえるほどメジャーな
「営利社団法人」
です。

「法人」
とは
「法律上のフィクションによって、人として扱うバーチャル人間」
のことをいいます。

この「法人」という概念ですが、よく聞く言葉ですが、実はまったく理解できない法律概念の一つと思われますので、少しこの
「法人」制度
について解説します。

「個々人バラバラではなく、一定の人間の集団と取引をする」
ということを考えてみます。

人間の集まりには、

・「渋谷や銀座といった特定の場所に一定時点存在する、相互に無関係で、無秩序で、方向性もバラバラで、無責任この上ない群衆」
もあれば、
・「一定の統治秩序があり、永続性があり、方向性と責任の所在が明確な人間の集まり」
もあります。

前者、すなわち、
「渋谷や銀座といった特定の場所に一定時点存在する、相互に無関係で、無秩序で、方向性もバラバラで、無責任この上ない群衆」
について、一定の法律上の人格を想定して付与し、取引社会に参加させた場合、
「何をしでかすかわからないし、しでかしたことにも責任を取らず、皆がトンズラこいて、知らぬ存ぜぬで押し通す」
といったことになるので、あまりに不安で危険であり、取引社会が大混乱となります。

他方で、後者、すなわち、
「一定の統治秩序があり、永続性があり、方向性と責任の所在が明確な人間の集まり」
であれば、一定の法律上の人格を想定して付与し、取引社会に参加させても、混乱は想定できませんし、却って、より大規模で効率的な取引がスマートに実現でき、経済社会の発展に寄与します。

取引や支払の責任という点であれば、最終的には、
「カネで責任を取ってもらえれば問題ない」
といえますので、
「人間の集まり」同様、
「財産の集まり」
であっても、
「統治秩序(財産運用秩序)があり、永続性があり、方向性と責任の所在が明確な財産の集まり」
であれば、これも、取引社会に参加させても問題なかろう、と考えられます。

そこで、人の集合体(社団法人)と財産の集合体(財団法人)の2種を想定し、これらいずれについても、
「統治秩序(財産運用秩序)があり、永続性があり、方向性と責任の所在が明確」
であれば、
「自然人ではないものの、財産的基礎があるので取引社会に参加させても、自然人と同様に取引を含む民事責任を負わせることが可能である」
と考えられるようになりました。

このような背景から、人の集まり(社団)や財産のカタマリ(財産)について、一定の要件を備えたものを
「本来の人(ヒト)とは異なるが、『法』律上、『人』と同等に扱ってやろう」
とし、
「法」「人」
として扱う制度を設けたのです。

これが法人制度の基本的な考え方です。

2 法人制度の種別

法人には、前述の社団法人(ヒトの集まり)と財産法人(財産の集まり)という区別のほか、目的によって、公益法人と営利法人があります。

株式会社は、営利目的で、株主という名の共同オーナー、すなわち人が集まった法人であり、営利社団法人とカテゴライズされます。

3 法人の運営(統治)

そして、株式会社も法人として、規律も責任も曖昧な単なる烏合の衆ではなく、きちんとした統治秩序が確立して、適切に運用されることが当然の前提となりますが、これをガバナンスあるいはコーポレート・ガバナンスなどといわれたりします。

ところで、法人は、人の集合体であっても、個々のメンバーとはまったく別の
「チーム」「グループ」
であり、抽象的・観念的存在に過ぎません。

実際は、チームのトップや、グループのセンターに相当する、代表者が、法人に成り代わって、各種取引を行います。

株式会社の場合、代表取締役が、チームのトップや、グループのセンターに相当します。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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