01927_裁判沙汰になるような戦術における考え方

「戦術は戦略にしたがう」
などと言われますが、戦術課題や作戦の方向性は、そもそも、
1 状況をどう認知し、どう解釈・評価し、
2 どのようなゴールを設定し、
3 当該ゴールからバックキャスティングした際に、どういうタスクをデザインするか、
という思想に帰着します。

すなわち、戦術課題とは、作戦立案上の、思想・哲学・根源的デザイン(構想)に依拠し、論理的に決定・選択されるべきです。

1  状況をどう認知し、どう解釈・評価するか
(1)○○が奏功する
(2)そもそも○○など奏功しない

2 どのようなゴールを設定するか
(1)○○をする
(2)○○は現実的には不可能だから、現実解として、二次的目標として、「△△をする」

3 当該ゴールからバックキャスティングした際に、どういうタスクをデザインするか
(1)少しでも奏功させるために、意を尽くし、どこまでも執念深く、時間をかけて、巧緻に、入念に、調査をして、○○を実践する
(2)「1秒でも早く」スピーディに、二次目標である「△△」の具備と要件実証の「ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」を 実施する。

ところで、弁護士が関わるような案件には、多大な資源(ヒト・カネ・時間)を費消することになります。

よって、現実解・最善解を求めるべく、スピーディーかつ合理的範囲における、マルチタスクでの執行を展開することを推奨することになり、それは、いずれも(2)を選択することを推奨することを意味します。

たとえば、裁判沙汰になるような案件の場合、現実解・最善解である(2)を選択するには、
「○○を実践する」
というメインシナリオを、早急に、序列劣位として(もちろん、できればできたで、それは望外の慶賀とすべきですが)、その前置手続きとして、
「○○を実践することが不可能である」
ことを構築しなければなりません。

そして、それには、時間をかけず、間をおかず、合理的な調査範囲において○○をトライして、疎明資料の基礎となるべき疎明事実の構築をする(=一定範囲での「○○不能」の調書徴求を行う)ことが、現実解・最善解といえるのです。

「時間をかけず」
ということは、執行対象について、
「すべてを対象とする」
あるいは、
「あたりをつける」
というような感受性ではなく、
「ここまで執行をやって空振りだったら、裁判所も、○○の疎明として十分と考えるであろう」
との感受性を基礎にする、ということです。

このような構想に基づき、タスクデザインや選択肢におけるジャッジを行っていくことが、
「戦理に適う」
と言えるのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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