01971_任意整理と民事再生は別物その4_小規模個人再生

一般論として、
小規模個人再生は、8割カット、らくらくチャラ」(額にもよります)
というように、いわれます。

そこで、任意整理を希望する債務者が、再生計画を
「小規模個人再生」
を”参考尺度”として考えがちですが、そもそも、その前提は働きません。

債権者に対して、
「小規模個人再生だと、このくらいチャラにされるのだから、これを前提とした任意整理でいいだろ?」
という働きかけ自体が、失当と考えられます。

なぜなら、任意整理と民事再生は手続きが別物だからです。

債権者にとって、任意整理は、公権力介入型手続きである民事再生とは、格式と信頼性が違いますし、契約自由の原則が働く以上、理由なく元本を割り込むような弁済案には応じる義務もなければ応じる理由もなく、さらに言えば、応じると背任的と非難されかねません。

ですから、小規模個人再生の経過予測をどれほどしたとしても、任意整理の参考値にはならない、ということなのです。

ちなみに、
「小規模個人再生」
であっても、運用や債権者の動向に左右される要素が”絶無”とはいえません。

楽観的に手続きをすすめて、あとから厳しい状況(というか、本来の民事再生法の理念にしたがった、堅実で厳格な処理の結果)で右往左往する、という債務者が少なからずいるのは、上記のような前提の違いを誤解していることに起因しているようです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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