01554_ウソをついて何が悪い(4)_「ウソつき」は社会的成功のはじまり

芥川賞作家の花村萬月氏は、ある小説で「小説家とは、小説という小さなウソを本にして生活する稼業だ」という趣旨のことを書いていました。 考えてみれば、エンターテイメントの才能というのは、「いかに上手に、世間が楽しめるウソをつけるか」という類のスキルといえます。 事実を正確に伝えるだけであれば誰でもできますし、無論、その種の...

01553_ウソをついて何が悪い(3)_「ウソ」をつく自由と権利

嘘をつくことは犯罪でありません。 さらに進んで、法律上、人には「ウソをつく自由と権利」が与えられているようにも思います。 エンターテイメントの世界では、虚構の世界を構築したり、話を面白くするために少し誇張をしてみたり、ということがよく行われます。 事実に即したドキュメンタリー番組は誰も見向きもしませんが、誇張や虚構を極...

01552_ウソをついて何が悪い(2)_「ウソ」は犯罪か?

俗に「ウソつきは泥棒のはじまり」といいますが、そもそもウソをつくことは罪なのでしょうか。 まず、「ウソつき」行為一般を処罰する法律はありません。 すなわち、刑法のどこをみても、「ウソつき一般=犯罪」とする規定はなく、したがって、「ウソをつく行為一般」については何ら犯罪を構成しません。 考えてみれば当たり前です。 男性が...

01551_ウソをついて何が悪い(1)_一般社会常識における「ウソ」

「ウソをついて何が悪い」という挑発的なタイトルを付けさせていただきましたが、本稿から「ウソ」あるいは「ウソをつく行為」をテーマに、法律を交えてお話したいと思います。 われわれは小さいころから、「ウソをつくと地獄で閻魔様に舌を抜かれる」「ウソつきは泥棒のはじまり」などと繰り返し教えられるなど、「ウソつき=重大な犯罪行為で...

01547_取締役の悲劇(3)_世間知らずの「取締役」が約束手形に触れたことで始まる悲劇その1_「取締役」氏、約束手形と出会う

連載コンテンツ「取締役の悲劇」シリーズの第3稿目です。 前稿では、「取締役が知ったかぶりでどんどん状況を悪化させ、しかも本人はそのことにまったく気がつかず、気がついたら、三途の川を渡河し、地獄の底に到達していた」という話がビジネス社会には実に多く存在する、と申し上げましたが、本稿ではそのような話の一例をご紹介します。 ...

01505_株式会社には「責任者」などという者は存在しない_4_会社が破産しても、社長も連座して破産するとは限らない

会社が破産しても、「『有限責任』しか負わないオーナー」や「ビジネスジャッジメントルールにより免責される社長」が連座させられて破産の浮目を見ることは、原則としてありません。 こういう話をすると、まず「でも、中小企業が倒産すると、社長も一緒に破産するでしょ」という1つ目の突っ込みが入ります。 しかしながら、中小企業において...

01504_株式会社には「責任者」などという者は存在しない_3_「法人制度」の本質とそのダークサイド

株式会社は「法人」の代表選手ですが、「法務局備え置きの登記簿上でしか確認できない幽霊のような存在に過ぎず、お情けで法律上の人格を特別に認めてあげているようなもの」です。 ちなみに、そもそも「法人」とは、フツーの人間と違い、「法律上のフィクションによって、人として扱うバーチャル人間」のことをいいます。 この「法人」という...

01503_株式会社には「責任者」などという者は存在しない_2_ビジネス・ジャッジメント・ルール

「株式会社には『責任者』などという者は存在しない」という言い方をすると、「そりゃ株主はそうかもしれないが、社長や経営幹部はそれなりの責任があるでしょ」といわれそうです。 しかしながら、ごく一部の例外的な場合を除き、社長や経営幹部、すなわち会社の取締役といわれる方についても、原則として、経営の失敗に関しては法的には無答責...

01502_株式会社には「責任者」などという者は存在しない_1_「有限責任」とは社会的・一般的には「無責任」とほぼ同義

企業不祥事などが発覚すると、マスコミなどはこぞって「企業はきっちり責任を自覚せよ」「経営者は責任を免れない」「株主責任を果たすべき」などと報道します。 しかしながら、株式会社には、法理論上、責任者などという者は全く存在しません。 といいますか、株式会社制度自体が、そもそも「誰も責任を取ることなく、好き勝手やりたい放題し...

01489_法的トラブルに遭遇したとき、「ネットで弁護士の書いた情報を探しても、事件がうまく解決できない現象」のメカニズム

法的トラブルに遭遇し、行き詰ってくると、ほぼ全員といっていいほど認知能力が下がり、正しい思考ができなくなるようです。 「不安やストレス、焦り、緊張、パニックは、人を愚かにする」ということは、経験上ご理解いただけると思います。 「ヤバい! これは、訴訟が起こされ、大変なことになりそうだ……」という危機感を抱いた時点で、大...