00050_「企業が『契約自由の原則』『私的自治』を理由に好き勝手やろうとした場合に、制限介入する法律」としての独禁法

「ドッキンホウ」
という言葉を聞かれた方は多いでしょうし、その内容についても、独占やカルテルを禁止する、というくらいのことは皆さんご存じだと思います。

「ドッキンホウ」
の正式名称は、
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」
といわれるものですが、市場の独占やカルテルを禁止しているほか、その名称のとおり、
「公正取引の確保をすること」
も法律の目的になっています。

自由競争を是とする資本主義社会においては、
「契約自由の原則」
「私的自治」
が金科玉条のルールとされており、
「地獄の沙汰もカネ次第」
の諺どおりであり、札束や取引上の権力があってできないことは見当たりません。

しかしながら、あまりいい気になって横暴に振る舞っていると、
「独禁法上禁止される不公正取引に該当する」
と言われて、きついお灸がすえられる可能性が出てきます。

「不公正取引がダメ」
といっても、具体的に何が公正で不公正かということがルール化されていないと昔の社会主義国のように経済活動が停滞してしまいます。

そこで、
「不公正取引」
とされる行為は、公正取引委員会が指定するという形で具体化されています(なお、指定には、全業種に適用される一般指定と、特定業種に適用される特殊指定があります)。

例えば、不公正取引のうち
「優越的地位の濫用」
といわれるものですが、
「取引上の地位が取引相手に優越していることを利用し、商慣習上不当な形で、取引相手に対し、役員の選任について、自己の指示に従わせたりすること」
が一般指定14項によって禁止されています。

メインバンクが役員選任を干渉するようなことを融資先に求めることがありますが、金融機関の通常の債権保全の目的や限度を超えたと認められる場合には、アウトと判断される可能性があったりします。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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