実質的に個人商店のような会社で、法人格と個人とを使い分けて責任逃れするようなケースがあります。
「オーナーと法人は別人だから、オレには関係ない」
「A法人とB法人は別人だから、こっちの法人はそんな義務知らねえ」
などの詭弁を弄する輩が出てきて、不都合・不公平な事態が生じます。
こういうことから、あまりにひどい場合は、
「法人格が全くの形骸に過ぎない場合、またはそれが法の適用を回避するために濫用されるが如き場合においては、法人格を認めることは、法人格なるものの本来の目的に照らして許すべからずものというべきであり、法人格を否認すべき」(最高裁昭和44年判決)
等とされます。
「法人格を弄ぶスットコドッコイ野郎に対しては、法人だろうが個人だろうが関係なく義務や責任を負わせるべし」
という粋な計らいは、法人格否認の法理と言われ、法律家の世界では非常にメジャーな法理です。
しかしながら、このような伝家の宝刀がブンブン振り回されると法人格概念が崩壊するということも懸念され、最近では、この法理の安易な使用を制限する動きも出てきています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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