海外企業との取引についてですが、一般に、株式市場で上場しているような著名な企業を取引の相手とするような場合、逐一素性を確認するような野暮なマネをする必要は乏しいといえます。
他方、あまり著名でない未公開の法人と取引する場合、著名法人自体ではなくその子会社や関連会社と取引するような場合、さらにはコンソーシアムとして運営されている企業連合体と取引するような場合、取引相手の法的素姓を正確に確認することは非常に重要です。
こんなことを言うと、
「はあ? 会社の素姓なんて確認する必要ねえよ。実際、現地に行って担当者とか社長と会っているわけだし」
なんて声が聞こえてきそうです。
しかし、著名企業と提携したりする場合でも、実際契約相手として指定されたのは親会社の関係法人とはいえ
「ホニャララLLC」
という名の別法人だった、なんてケースがあったりします。
「LLC」
とは、Limited Liability Corporation(有限責任会社)という意味ですが、法律概念における
「有限責任法人」
とは
社会通念上「無責任法人」
という意味にほかなりません。
それなりの資産や経済実体をもっている親会社と取引するならともかく、
「無責任法人」
ともいうべき関連法人と組まされて莫大な投資をさせられた挙げ句大失敗し、当の親会社を問い詰めても、
「ホニャララLLCは、当社とは別法人なので、関係ありません」
などスットボケられることがあったりします。
とはいえ、この弁解は
「法的には完璧な正当性をもつ言い草」
であり、
「そんな無責任な法人と組んで莫大なカネを突っ込んで損した方がバカ」
という結末となります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所