00282_口頭契約をドタキャンされた場合の対処法

口頭契約をドタキャンされたケースにおいて、大手企業に何らかの責任を負担してもらう方法を検討してみます。

まず、
「契約準備段階の過失」
という法理の活用です。

これは、契約締結に至らない交渉段階であっても、契約締結の見通しがなくなった段階で相手方に告知するなどの義務があり、これに違反したら、相手方の損害を賠償すべし、という法理で、民法の条文にはありませんが、学説上唱えられ、判例上形成され、一般化したドクトリンです。

民法を勉強する際に必ず学ぶもので、資格ある弁護士であれば、ほぼ間違いなく知っている理屈です。

また、大手企業の契約担当の行動に、契約締結が困難となった状況を故意に知らせなかった等、違法とされるべき行動があった場合には、使用者たる所属企業に使用者責任(民法715条)を追及するということも考えられます。

さらに、大手企業が株式会社である場合、当該企業は法律上
「商人(一般的意味の商売人という意味ではなく、法律上『ビジネスプロフェッショナル』として扱われるべき定義概念)」
とされますから、
「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる」(商法512条)
という法定責任を活用した責任追及も考えられます。

最後に、こういった件は
「下請けイジメ事例」
とも考えられますので、下請代金支払遅延等防止法の活用も検討してみる価値があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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