00296_「世界万国で通用する国際特許権」などという代物は存在しない

飲み屋等でよく、
「ウチの特許は国際特許だぞ」
などということを自慢気に語る中小企業の社長さんがいらっしゃいますが、
「世界万国で通用する特許権」
などという代物は存在しません。

そもそも、特許権については当該権利が取得された国の領域内においてしかその効力が認められません。

すなわち、ある国で取得された特許権は、登録等を行って別途権利化の手続を取らない限り、他国では特許権としての効力が認められないのです(特許権における属地主義の原則)。

無論、ある特許を簡易な出願手続で、複数の国で出願した扱いにする便宜的な方法は存在しますが、これは出願についての仕組であり、最終的に特許権を取得するには、特許権を取りたい国ごとに登録等の手続を行わなければなりません。

さきほどの社長さんは、国際出願をしているというだけのことを大袈裟にいっているにすぎません。

本気で世界中の国で特許権を主張するのであれば、各国ごとに費用をかけて登録手続きをしなければならず、莫大な費用がかかることになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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