00298_「メーカーは、流通価格を制御できない」というルール(販売価格拘束の禁止)の意味と法的背景

かつて、
「定価」
というものが存在していましたが、最近は、すっかり聞かなくなりました。

変わって、
「メーカー希望小売価格」
「参考価格」
という言葉をみかけるようになりました。

これは、独禁法がきちんと意識されるようになり、独禁法違反行為と間違われる、紛らわしい言葉遣い(や、実際の紛らわしいビジネス慣行)が、コンプライアンス上改められるようになったからです。

自由で公正な競争状態を維持することによる健全な市場経済の発展を目的とする独占禁止法の理念からいうと、モノの値段というのは、市場参加者間のガチンコ競争で決まるものであり、特定の誰かが有無をいわさず一方的に値段を決めるのは反競争的ないし競争制限的であり、資本主義経済社会の根本前提である
「市場における自由競争」
の基盤を損ねる、実にケシカラン行為ということになります。

このような観点から、流通業者に一定の商品価格を順守させたり(価格拘束行為)、あるいは卸先のそのまた卸先の販売店の価格を拘束したり(再販売価格拘束行為)する行為は、独占禁止法上、違法とされています(一般指定12項)。

最近では露骨でドギツイ価格拘束行為こそ影を潜めましたが、価格拘束を守らない業者には取引量を制限したり値引きを拒んだり、あるいはきちんと守る業者だけにリベートを支払ったり、といったソフトな拘束行為は根強く残っています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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