適正な利益が上げられる範囲で、同業他社より安い価格を設定して商品を販売したりサービスを提供したりすることは、自由競争社会においては当然のことです。
本来、企業は、自社の商品やサービスの価格を自由に決めることができるのが原則ですし、顧客によってはその取引量やコスト(事務費用など)が異なるのですから、例えば、
「子供は割引します」
といったように、顧客の属性で価格を変えたからといって、直ちにそれが違法と評価されるようなことはありません。
しかしながら、例えば、同業他社のシェアが大きい地域だけ、自社の商品やサービスを安くしたり、同業他社の顧客を勧誘する時に限って安い価格を提示したりするといった行為は問題があります。
なぜならこのような行為を放置した場合、大企業がその資金力にものを言わせて、同業他社のシェアが大きい地域や市場に狙い撃ち的に介入し、その地域や市場における同業他社の資金力が尽きるまで安い価格を維持して顧客を奪うことが許されることになり、反競争状態が出現することになるからです。
このため、独占禁止法は、公正取引委員会が指定する
「不当に、地域または相手方により差別的な対価をもって、商品もしくは役務を供給し、またはこれらの供給を受けること」
を
「差別対価」
として不公正な取引方法としているのです(一般指定3項)。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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