ある会社が、ライバル企業の3割近くの従業員を引き抜いた上、さらに、当該ライバル企業の顧客に対し、
「自社との取引に切り替えれば、他の顧客にはない特別な条件で取引する」
という不当な差別対価を提示して勧誘したという事件がありました。
この事件について東京地方裁判所は、
「違法な引き抜き行為」
に加え、これと近接した時期に
「違法な差別対価」
を提示するキャンペーンを大々的に行ったことを総合的に考慮し、いわば
「併せ技一本」
のような形で前記企業の行為を悪質な私的独占行為と判断し、20億円にも上る損害賠償額の支払いを命じました。
このように、
「一見、やりたい放題、何でもあり」
のガチンコ自由競争と思われがちな企業社会ですが、1つずつは
「ちょっとした悪さ、ラフプレー」
とも思える、従業員の引き抜きや差別対価による顧客の奪取も、全体を俯瞰してあまりにえげつない反競争行為と捉えられると、単なる不公正取引としての
「差別対価」
にとどまらず、
「差別対価を手段とした私的独占行為」
として判断されるリスクがある、といえます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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