金融商品取引法(旧証券取引法)は、
「資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする(第1条)」
という目的を実現するため、詳細な規定を設けています。
株価は市場において形成された客観的で公正な企業価値を反映するものであり、このような期待があるからこそ、投資家は市場を信頼し、資本主義が健全に機能することになります。
その意味では、市場における株価は、正確な情報に基づき、自由かつフェアに評価されたものでなければなりません。
反対に、
市場における株価形成のプロセス自体が歪められたり(相場操縦)、
株価形成の際に虚偽の情報が混入したりすること(開示における虚偽記載)、
さらには、
「一部の者だけが正しい情報を持つ結果、本来あるべき企業価値とは離れた株価が形成されること(インサイダー取引)」
も、投資家の市場に対する信頼を失わせ、資本主義という制度そのものを破壊しかねない悪質な行為と考えられることになります。
このような点から、金融商品取引法は、インサイダー情報による取引を違法視し、刑事罰や課徴金の制裁など厳しい制裁を科しています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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