00402_期間雇用の雇止めを行う際のリスクと回避テクニック

従業員からすれば、契約の種類としては
「期間の定めがある労働契約」
であるとしても、これまでもずっと更新されてきた場合には、
「いちいち更新という手続はあるもののこれからもずっとこの会社で働いていけるのだな」
との期待を抱くことも当然ともいえます。

このようなときに、企業が、人手がいらなくなったとして一方的に有期労働契約の更新を止めてしまうことは、従業員の期待を害する可能性が高く、社会的にも問題になったため、判例上も一定の要件の下で保護されてきました。

この問題は従来
「雇い止め」
と呼ばれ、著名な判例(東芝柳町工場事件)では、有期労働契約を更新し長期間雇用している臨時工の雇い止めについて、期間の定めが一応あったとしても、
「期間満了ごとに契約更新を重ねることは、期間の定めのない契約と実質的に変わりがない」
ため、雇い止めの意思表示は実質的に解雇の意思表示と同じであり、解雇権濫用法理が類推適用されるとしました。

つまり、雇止めをするときには、通常の労働契約における解雇と同様に、厳しい要件を満たさない限り無効とされる可能性があるというわけです。

もちろん、紹介した判例は、その事案について雇い止めが無効であると個別的に判断されたに過ぎず、すべての有期雇用契約について更新しなければならない義務が企業にあるわけではありません。

つまり、当該有期雇用契約の実情がどのようなものか(仕事の内容・性質、更新の回数や更新手続きが形式的かどうか、雇用期間の長さ、企業内での地位、採用時に契約の特殊性について説明を行っていたかなど)に大きく左右されます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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