00403_株式公開買付け(TOB)の規制内容と規制理由

アクティビスト・ファンドによる企業買収劇などで注目を集めることがある株式公開買付けですが、TOBとは、公開買付者が、対象となる企業の株主と証券取引所の外で行う株式の買い付け行為であって、短期間のうちに会社の支配権に影響を及ぼすような量の株式の取得を行う取引をいいます。

公開買付者によって、対象となる株式会社の支配権が移動することから、経営陣やステークホールダーズにとってみれば今後の経営方針に重大な影響を及ぼす行為になります。

また、支配権が移転する結果、公開買付者の事業とのシナジーなどによって対象となる企業の価値が増大することが見込めますので、公開買付者がTOB価格を決めるにあたっては
「コントロールプレミア(通常の企業価値に加えて考慮される経営支配権に対する上乗せ価値)を既存株主に公平に分配するべき」
という考え方が働き、株主にとっては株価の上昇も見込めることになります。

このような観点から、金融商品取引法は、TOB実施に際し、一定の情報を開示するよう義務付けるなどの規制を設け、取引の公正と既存投資家の保護を図ることとしました。

ただし、証券取引所外での株式の買い付け行為のすべてに上記の義務や規制が課せられるというわけではなく、
1 一定数以上の者からの買い付けであって、買い付け後の株式保有割合が5%を超える場合
2 一定数以下の者からの買い付けであっても、買い付け後の株式保有割合3分の1を超える場合
3 証券取引所内の株式の買い付けであってもToSTNetなど一定の取引を利用し、買い付け後の株式保有割合3分の1を超える場合
4 3カ月以内の短期間に、合計10%を超える株式を急速に所得する場合で、そのうち5%以上が証券取引所外での取引などであって、且つ買い付け後の株式保有割合3分の1を超える場合
に限って、いわゆるTOB規制が発動されることになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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