00416_特定物と種類物の違いと、売買における法的取扱のポイント

不動産や骨董品のように、その物自体の個性に着目し、世の中に1個しか存在しない物を取引の対象とする場合、その物を
「特定物」
といい、当該特定物の引き渡しを受ける権利のことを
「特定物債権」
といいます。

次に、フランスの赤ワイン12本、といったように、一定量の同じ種類の物を売買等の引き渡しの対象とする場合、その物を
「種類物」
といい、当該種類物の引き渡しを受ける権利のことを
「種類債権」
といいます。

なぜこのような分類がされるかといいますと、地震や台風といった誰のせいにもできない出来事により取引の対象となる物が滅失してしまった場合に、物の引き渡しを受ける権利はなくなってしまうのか、また、物の代金等はどうなるのかといった問題を、物の性質に応じて予め取り決めておく必要があるからです。

すなわち、
「特定物」
であれば世の中に1個しか存在しないので、滅失してしまえばその物の引き渡しを受ける権利は消滅することとなりますが、
「種類債権」
であれば、世の中に同じ種類の物が存在する限り、引き渡しを受ける権利は消滅しません。

この場合、物の引き渡し義務を負う側は、依然として同じ種類の物を引き渡さなければなりません。

すなわち、どこから引き渡し対象の
「商品」(種類債権なので、同じ種類の物が世の中にいくつもあるので、探せば見つかります)
を探してきて、引き渡し義務を履行する準備を整え、約束を果たさなければなりません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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