00434_借地借家法における契約期間更新のルール

賃貸借契約とは、当事者の一方が他方に物の使用等をさせ、これに対し相手方は使用等の対価を支払うことを約束する内容の契約です。

民法は、賃貸借契約の
「期間」
について、
「賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする(604条)」
と定めるのみで、あとは、当事者間で自由に決めてよいという建前をとっています(私的自治の原則)。

ところで、期間が満了する際、それまでと同一条件で、または若干の変更を加えた上で、賃貸借契約を継続させることを
「更新」
といいますが、この点についても民法は、更新が可能かどうかや、その際の条件等については、原則として当事者間の合意に委ねています。

とはいいながら、ふつう、物を貸す側(大家)と借りる側(店子等)とでは、前者の立場が圧倒的に強いわけで、貸す側としてみれば、もっと良い条件で借りてくれる候補者がいれば、借りる側が賃借物の造作等にどんなに費用をかけていたとしても、
「次に入る人が決まっているんで、契約が終了したら、とっとと出ていってくれ。あん? 更新? そんなの絶対にだめ」
となってしまうことがままあります。

そこで、圧倒的に弱い立場の借りる側を保護すべく、借地借家法は、
「貸す側は、期間満了の6か月前までに、更新を拒絶する意思表示をしなければ、賃貸借契約は同一条件で更新されたとみなす(「みなす」とは、更新の効果を争うことは一切できないという意味です)」
「さらには、借りる側にカネをつんだり、どうしても自分で使わなければならない等、更新拒絶の正当事由の存在を証明しない限り、更新の拒絶はできない」
と定め、両者の力関係の調整を図っています。

このような解釈修正があり、しかも、かなり強力かつ厳格に借地人、借家人を保護する方向で働くため、
「不動産なんて、貸したら最後、売ったも同じ」
などといわれる我が国不動産取引の大きな特徴となって現れます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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