00455_パック商品を小分販売する行為の法的問題点

商標法2条3項、25条は、商標権(なお、特許庁に登録されてはじめて商標法上の「権利」を享受することができます)を有している者だけが
「商品」やその「包装」などに当該商標を付けることができる
と定め、また、同法37条は、それ以外の者が同じことをした場合、商標権に対する侵害行為になると規定しています。

すなわち、第三者が、勝手に、登録商標と似たような商標を自分の商品に付けて販売などする行為は、
「“いつもの商品・サービス”を得られるという消費者の信頼」
を独占的に享受できる商標権者の権利を侵害する、と定めたわけです。

このように、法律で
「権利者だけが、商品のパッケージなどに商標を付けることができる」
と定めることで、商標がもつ
「出所表示機能」や「品質保証機能」
が担保されるわけです。

このような法律の趣旨を前提とすると、
「出所」も同じで、
「内容」も「品質」も同じ商品であれば、
勝手に商標をつけて売っても、結局は、“同じ商品”を売っているのだから何の問題もないような気もします。

しかしながら、登録商標が付けられた
「一袋の量の多い商品」
を、“小分け”にして同じ商標を付けて販売した行為が違法であるか争われた裁判において、1994(平成6)年2月24日、大阪地方裁判所は、
「商標権を侵害し、違法である」
と判断し、損害の賠償を命じました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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