00489_会社分割による事業承継後、「施設名称」を継続使用した場合のリスク

会社分割の場合について、クラブの名称を続用した預託金会員制ゴルフクラブの事業を承継した企業が、預託金を返還する義務を負うか否かが争われた最高裁判例(最二小判平成20年6月10日)があります。

最高裁判所は、預託金会員制のゴルフクラブにおいて、その名称は、ゴルフクラブ自体だけでなく、ゴルフ場の施設やこれを経営する会社をも表示するものとして用いられていることが少なくなく、そのような状況で、
1 ゴルフ場事業が譲渡され、
2 名称が続用され、
3 譲り受けた側が譲受後遅滞なくゴルフクラブ会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否した
などの特段の事情がない場合、
ゴルフクラブ会員において、同一の事業主体による事業が継続しているものと信じたり、事業主体の変更があったけれども
「事業を譲り受けた側」

「事業を譲渡する側」
の債務を引き継いだと信じてしまうのは無理もない、との事業譲渡についての判例を引用し、会社分割にもこれが当てはまると判断しました。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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