制度の仕組みが誤解を招きやすいことに加え、裁量労働制の適用対象となる業務についても、列挙された業務に形式的にあてはまればよいというわけではありません。
例えば、システムエンジニア(SE)は適用対象と解されていますが、業務内容が裁量性の高くないプログラマーは対象外と考えられ、このような複数の業務を兼務している場合、適用対象外となり得ます。
また、専門業務型裁量労働制の趣旨としては、
「対象業務の性質上、その遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要があるものについて、労使協定で定めた時間数労働したとみなす」
というものですから、肩書上は列挙されている業務に当たるとしても、業務実態として裁量性がないのであれば、適用対象外となる可能性が高いです。
実際に、SEについて裁量労働制を実施する会社で、SEの肩書を与えられていたが、実際はプログラミングや営業も行い、SEの業務内容もあまり裁量性がなかったというケースで、裁量労働制の適用対象外として、当該SEの未払残業代請求が認められました(大阪高裁判決平成24年7月27日)。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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