未発生の債権についてまで、片っ端から担保に取るというのはあまりにやり過ぎで、担保に取られる債務者(担保提供者)側に不測のリスクを負わせるとも考えられます。
将来債権の譲渡があった場合、債権譲渡時には譲渡債権は発生していないわけですから、当然譲受人は、債権者と債務者がどのような契約を締結するかなど知る由もありません。
この点につき、東京地裁平成24年10月4日の裁判例では
「債権の譲渡禁止の特約についての善意(民法466条2項ただし書)とは、譲渡禁止の特約の存在を知らないことを意味し、その判断の基準時は、債権の譲渡を受けた時であるところ、本件請負報酬債権に譲渡禁止の特約を付する合意がされたのは、被告が本件請負報酬債権を譲り受ける契約を締結した後のことであるから、本件請負報酬債権の譲渡当時の被告の善意について論ずることは不可能であって、無意味というほかない。
したがって、本件債権譲渡契約により被告が本件請負報酬債権を取得したとは認められない」
と判断しています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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