辞任登記が未了になっていたにすぎず、
「不実の登記をした」
わけではない場合、真実選任された取締役とは異なる者を取締役として登記した場合と異なり、辞任取締役が既に取締役でないとは知らなかった人に対し、辞任取締役が、
「自分はもはや取締役ではない」
と主張することはできるのでしょうか。
裁判所は、
「株式会社の取締役を辞任した者は、辞任したにもかかわらずなお積極的に取締役として対外的又は内部的な行為をあえてした場合を除いては、特段の事情がない限り、辞任登記が未了であることによりその者が取締役であると信じて当該株式会社と取引した第三者に対しても、取締役としての責任を負わないものというべきである」
としています。
つまり、辞任登記が未了であるにすぎない場合、積極的に異なる登記をした場合と異なり、積極的に取締役として契約に立ち会ったり、社内で依然取締役として会議に参加したりしていたなどの事情がなければ、辞任取締役はすでに取締役を辞任していると主張することはできるので、辞任取締役は取締役としての責任をとる必要はないのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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